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無理しないハースストーン

無理せずハースストーンをやったらどこまで行けるのかやってみる。

夜明け前でもまだ明けぬ ~デッキ構築について②~

 

ウンゴロがやって来る。

ゴロゴロやって来る。


この時期は本当に、毎日リリースされるカードを眺めながら妄想するのが楽しいよね。だがしかし、そんな時期になぜこんな内容を書くのか自分でも疑問だが、今回はデッキ構築についてである。

新環境のカードは確かに気になるが、できるだけ現環境での模索を続けて「新環境で使えるアイデア」はないか、試しておくのも悪くはない。

例えばすでに過去のものとなった【クトゥーン】などが新カードによって劇的に復活することはあり得るわけだし、何より残り少ない現環境のランクマッチを楽しむためにも、今いろいろデッキを作る練習をしておくのはいいことだよね。

 

はい。

 

で、最近俺はデッキの構築についてそれなりに真剣に考えておったのである。もちろん世の中にはいろんなデッキの作り方ガイドがあって、参考にもしている。しかし我流のところもあるわけで、何となく今のデッキの作り方をメモしておこうと思った次第である。


俺は大まかに、以下のような流れでデッキを組んでいる。

1.デッキコンセプトもしくはキーカードを決める
2.デッキの速度と戦術を決める
3.確率を考慮に入れ、マナカーブを整える
4.試運転と推敲をしてなじませる
5.ランク戦に使い、微調整する

 

特に変わったところはないと思うが、他の人と被っているところを解説しても冗長になるので、特徴的なところだけ書こうと思う。

 

・勝とうと思うな

 

いきなり挑戦的なテーマである。でも、俺はこれが一番重要だと思っている。

もちろん最終的には勝った方がうれしいわけなので、厳密には勝とうと思っていい。しかしデッキを作る段階で「勝てるデッキ」を作ろうとするのは、あまり良くないと考えている。

 

なぜか。

勝とうとすると道筋が狭くなるからだ。「好きなように遊んでいいよ」よりも「勝つための方法を考えよう」の方が、選択肢が狭まるからだ。

例えば休みの日。

「どこでも好きなところへ行っていいよ」と言われたら、行きたいところへ行くだろう。しかし家族や他の予定との関連で「お台場から出ない範囲で、好きなところへ行っていいよ」と言われたら、相当に選択肢が狭くなるよね。

 

それと一緒(暴論)。

 

「勝とう」とすることで、デッキの選択肢は狭くなるのだ。で、選択肢が狭くなることで、知らず知らずのうちに今の環境を意識したり、強いデッキの対策をしなければいけないという意識が生まれて、デッキは縮こまる。本当に自由な発想でなく、何となく今の環境に収まった、行儀のいいデッキになってしまう。

それではダメだ。いや、正確にはダメではないが、それなりのデッキしか生まれない。突然現れる面白いデッキは、そんなやり方では生まれにくい。子供のような自由な心で遊んだ先に、エポックメイキングなデッキはあると、俺は信じる。

要は「たくさんデッキを作って、常識外のデッキを見つける確率を上げよう」ということだ。

(余談だが、こういった考え方は俺がむかし教わった「ブレインストーミング」のやり方に通じるものがある。今ではブレストも一般化して、ただの気楽なアイデア出しみたいな感じになっているが、その時先輩に教わったブレストは「あまり考えずとにかくアイデアを出す」「人の意見を否定しない」「そうすることで意図しないようなアイデアが生まれやすくする」というものだった。まさに脳みそに嵐を起こして、お行儀のいい体裁や、人からどう思われるかというくだらない自意識を取っ払う。そんな言葉の殴り合いのようなものだった)

 

……。

 

なんて言ってはいるが、本当は勝てるかどうかは二の次なのだ。

俺はそもそも「無理しないでハースストーンを楽しみたい」んだ。それを外したらやっている意味がない。やめた方がいい。目的は「楽しいデッキを作る」ことであり、「ワクワクするようなコンセプトを見つける」こと。

楽しいデッキをたくさん作ろう。

勝てるかどうか、メタを気にしておずおずと1〜2個のデッキを作るより、10個、20個、100個の失敗デッキを作ろう。

その中に絶対いいデッキはあると断言する。

  

では次。

 

・確率を意識せよ

 

もしかしたらこれは、人によっては必要ないかもしれない。なぜならばこの項は、デッキを確率の面から見てみようというものであり、「そんなこと気にするより、組んで戦ってを繰り返したほうがいいよ」って人もいると思われるからだ。

少しだけ複雑な内容も含まれるので、もし合わなかったら読み飛ばしてもいいと思う。けど、本当はここが結構面白いと俺は思っているので、よろしければどうぞ。って感じである。

 

さて、ではデッキを確率で考えるってどういうことか。ここでは、普段俺が気にしているアプローチについて書いておく。

それは「マナカーブ」と確率だ。良く「事故らないためにマナカーブを整える」みたいな文脈で聞きますな。序盤のテンポを失わないために、2マナまでを多めにデッキに入れ、そこからなだらかに減らしていく。等々。

この考え方は、闘技場では必須と言っていい。闘技場は一手遅れると後々まで後手を踏んでしまうことになりがちなので、テンポを失わないようにデッキを組む時点でマナカーブを重視してピックする。

うん、これはいい。

 

しかしだ。

構築戦でこの考え方ってどれくらい有効なんだろうか。そもそも闘技場と違って「敢えてカード出さないターン」もある。さらにドルイドに至っては「マナを増やすカード」があるので、闘技場のような「テンポを失わないマナカーブ」という考え方は、それほど有効でないのは明らかである。

けれども、構築デッキだからと言ってマナカーブを全く無視していいというわけでもなく、ある程度「カードの引きやすさ」は考慮する必要がある。

例えば「終盤に勝負を決めるデッキ」にコストの重いカードばかりを入れても、そこに至るまでにライフが0になって負けてしまうだろう。そこで考えるべきは、デッキのバランスを考えて中盤までの「相手の攻撃をしのぐカード」を入れることだ。

そう言った「構築デッキにおけるマナ構成」の考え方を、もう少し掘り下げてみたい。

 

まずは構築戦のデッキを分解して、それぞれの使用タイミングを明確にする。例えばこんなデッキ。

 

【アグロ動物園パラディン

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このデッキはコストの低いミニオンをバフして連打してバフするという、非常にアグレッシブなミニオン主体のデッキだ。プレイ中に考えることはバフの順番ぐらいで、基本は「攻め続けること」だというのは、このリストを見ただけでわかるだろう。

ではこのデッキで気をつけるべき「確率」は何か。それはドローカードを引くタイミングだ。

このデッキは手札が減るのが早い。唯一のドローカードである【神聖なる恩寵】をいつ引くかが、勝負を分けると言ってもいいだろう。引けなければ手札の差で負けるし、遅いデッキ相手に大量ドローできれば、押し勝てる可能性が増すだろう。

 では一体、2枚入っている【神聖なる恩寵】は、何ターン目までに引けるのか?

 

【n枚入っているカードが最低1枚引ける確率】

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このシートは、同じ用途で入れたカード群について、最低1枚引ける確率を引いた枚数別に出したものだ。

「ターン」「枚数」は、ドローカードを考慮しない場合のターン数とそれまでに引いた累計カード枚数。黄色い横軸が「デッキに入れた枚数」。

表内に「n枚入っているカードがxターン目に最低1枚引ける確率」がずらずら計算されている。(※1)

 

赤い数字は4回に3回その事象が起こる「75%」を超えた箇所だ。ここを目安にすれば、ある程度計算できる枚数は何枚なのかがわかるというわけだ。

一般的に闘技場で「2マナは7枚ピックせよ」などと言われるのは、この確率を基にしていると思われる。7枚デッキに入っているカードは、先攻の2ターン目(=5枚目のドロー)までに76.4%の確率で引ける。

4回に3回以上は2ターン目に2マナのカードをプレイできるわけだ。

この表を見れば「8枚にすると2ターン目までに引く確率が81.5%になり、5回に4回以上引ける」というような議論もできる。つまり「序盤の安定性を高めたい場合には7枚⇒8枚とする」という行為を確率で担保することができるわけだ。

 

では、この表を使って先ほどのデッキに2枚入っている【神聖なる恩寵】は、何ターン目までに引けるのかを見てみよう。

2枚入っているので、横軸2の列を見る。75%を超えているのは「累計15枚目」だ。つまり15枚引かないと「4回に3回、最低1枚以上【神聖なる恩寵】を引く」という条件を満たさない。

これは少々厳しい。

1枚以上引く確率を50%以上と低く見積もれば、9枚目(6ターン目)に条件を満たすが、それでは2回に1回はドローできなくて負けることになってしまう。

つまり、このデッキに対する有効な調整案は「もっとドローカード入れろ」である。

 

【アグロ動物園パラディン v2】

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【コールドライトの託宣師】を2枚入れ、これで3マナのドローカードが4枚に増えた。「4回に3回1枚以上【神聖なる恩寵】を引く」ためには9枚ドロー(=6ターン目)でいいことになる。

このデッキのカード1枚当たりの平均コストは2.23。5ターン目までに累計15マナが使えるので、6ターン目に入った時、期待値で6.7枚ぐらい使っている計算になる。その時の残りカードは「それまでのドロー総数9枚 - 使用期待値6.7枚」で2.3枚だ。

言い換えると「6ターン目でだいたい手札が2枚残っていて、3/4の確率でドローカードを1枚は引いている」状態であるということだ。

うん、これはちょうどいい感じになった。

もちろん、カードの平均コストが低ければまたすぐに手札切れを起こしてしまうので、そこはそこで調整する必要はある。しかし、確率の担保があることで「このカードは何枚必要」という判断理由が少し強固になったことは、感じていただけるだろう。

こんな風に確率を使うことでデッキのテンポを良くなり、バランス調整に役立つわけだ。

 

では別の例。

「コンボパーツが6枚入ってて、その内2枚引きたい」というような時はどうすれば良いだろうか。例えばこんなデッキ。

 

【OTKパラディン

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このデッキは、中盤まで【終末予言者】とか【平等】+【熱狂する火霊術師】でしのいで、終盤にOTKを目指すデッキだ。

コンボパーツとしては以下の5枚。

【レイヴンホルトの暗殺者】

【リロイ・ジェンキンス

【力の祝福】*2

【祝福されし勇者】

この内4枚を引けば最低19点出せる。

じゃあ5枚中4枚っていつごろ引けるのだろうか。上の表ではこれに答えることはできないので、また別の表を作りました。

 

【5枚中a枚以上引く確率】

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表の上部にある「キーカード枚数」というところが、コンボパーツだと思ってほしい。要は、デッキ内に何枚コンボパーツが入っているかだ。

「ターン」「枚数」は、前の表と同じ。ドローカードを考慮しない場合のターン数とそれまでに引いた累計カード枚数。

黄色い横軸は今度は「キーカードのうち何枚引けるか」だ。

実行ボタンを押すと、表内に「5枚入っているキーカードがxターン目にa枚以上引ける確率」がずらずら計算される仕組み。(※2)

5枚のうち1枚引ければokなら、7枚目で確率は75%を超える。5枚のうち2枚引きたければ14枚、5枚中3枚引きたければ19枚ドローしないと、確率が75%にならない。

 

そして目的の「5枚中4枚」は、25枚のドローが必要になってしまう。ドローカードは【苦痛の侍祭】と【しめやかな通夜】なので、デッキの半分の位置では4枚ぐらいのドローが期待できる。

よって、およそ18ターン目にはコンボパーツがそろうことが多い、という結論になる。

 

どうだろう。

果たして豊富な全体除去と回復で、18ターン目まで耐えられるだろうか。

それはやってみないとわからない。何度か実際にプレイしてみて「コンボパーツが揃うまで持たないことが多い」と感じたら、1枚だけ増やしてみよう。

 

【6枚中a枚以上引く確率】

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表を見ると、6枚中4枚引く確率が75%を超えるのは21枚目のドロー。先ほどと同じくドローカードを4枚と考えると、14ターン目まで早めることができた。これでまた何度かプレイして、デッキの精度を上げていくわけだ。

もちろんこれも、経験則でなんとかなるかもしれない。きっと経験のあるプレイヤーは、こんな計算をしなくても「いい感じ」にデッキを整えることができるだろう。

でも、俺はそこまで行ってないので、こんな計算を日々地味にやりながら、デッキを組むための目安にしているというわけなのだ。

 

さあ、クラーケン年に無理やり入れようとした、そんなブログエントリーはこれで終わりだ。次回は「ウンゴロレビュー」をやれればいいなあ。

 

(文中に(※1)(※2)と書いたところは、後で計算式を追記しようと思っています)