無理しないハースストーン

無理しないハースストーン

ハースストーンやらなくなったなー

ヒロイック喧嘩について

少し前の話だが、ハースストーンに【ヒロイック喧嘩】というやつが実装された。

 

簡単に言うと、自分の組んだデッキで戦う闘技場である。

自分で組んだデッキを使わなければいけないので、必然カード資産の多いベテランユーザーが有利になる。それ以前に、入場料が1200円もしくは1000ゴールドなので軽い気持ちでは参加できないコンテンツである。

しかし、その分報酬は破格で、12勝すれば50パックにゴールデンレジェンドが3枚も付いてくるし、入場料以上の1100ゴールドがもらえる。期待値がプラスになるのは5勝3敗から。実現するためには、勝率62.5%を叩き出さなければいけない。

つまり、腕に自信のあるやつだけ来い。強い奴にはいいもんやるぞ。という非常に射幸性の強い遊びだ。

 

でね。

こんな波の荒さなもんだから、どっちかって言うと否の方が多いわけよ(個人の感想です)。通常の酒場の喧嘩を飛ばしてこの【ヒロイック喧嘩】を実施したのもあって、完全に初心者お断り、むしろ中級者もお断り。上級者でも二の足を踏むレベル。

なんでこんなの実装したのかなー。って考えて、思い当たることがあったのでここに記すものとする次第である。

 

結論から言うと、【ヒロイック喧嘩】の目的は『上級者の余剰リソースを減らすため』で間違いない。

この手のゲームって、課金しない人も遊べるように、毎日少しずつ時間を使っていればそこそこ遊べるようになっている。そうしないと、お金使わない人が意欲をなくしてしまい、ユーザー数が減るからだ。

あれ、課金する人だけ残ればいいんじゃないの?

と思われるかもしれないが、それでは実ユーザー数がものすごく少なくなってしまうので、潜在的なユーザーへの広がりが鈍くなってしまう。ユーザー数を多く保つことで、そこからの広がり(例えば『友達を誘う』などのゲーム外部への動き)が活性化するため、新しいユーザーを獲得しやすくなる。その結果、課金ユーザーも増える。

ハースストーンの場合も、クエストを消化したり勝利を積み重ねることで、がんばれば一日150ゴールドは手に入れることができる。例えば年間300日稼働したとして、一年で45000ゴールドが手に入る。

現在、ハースストーンの年間スケジュールは『拡張*2』と『アドベンチャー*1』なので、アドベンチャー分の2800ゴールドを引いて42200ゴールドをパックで使用できることになる。

つまり、一拡張につき21100ゴールド。211パック。

 

うん、これで十分じゃね?

しかも、ある程度課金しているユーザーなら、これよりさらに多くのパックを手に入れることができるのだ。必然的に『ゴールドは余る』。

で、余ったらどうするか。普通の人なら、ある程度のところでパックを引くのをやめて『次の拡張のためにとっておく』だろう。そうしている間にも、日々ゴールドは溜まっていく。つまり、あるユーザー層では『ゴールドの消費より収入が上回った状態』になっていると予想される。

こうなると、課金する意味がなくなる。日々の収入さえちゃんとこなせば、拡張がリリースされても無くならないくらい、ゴールドはあるのだ。課金なんてしないだろう。

 

というわけで、この状態を解消するために【ヒロイック喧嘩】は実装されたと見て間違いないだろう。それを裏付ける理由は他にもある。

 

・ターゲットが上級者

前述の通り、明らかに上級者を狙った仕様は、『ゴールドが余っている層から減らしたい』という意図を感じる

 

・報酬にゴールデンレジェンドがある

基本的にゴールデンレジェンドは、自分でわざわざ作らない。つまり、カードリストがほぼ埋まっているユーザーでも、持っていないカードが多い。よって、それを報酬として出すことで、最上位のユーザーでさえもゴールドを消費してくれる可能性が高まる。

 

・【仁義なきガジェッツァン】のリリース2週間前

おそらくこれが一番大きい。新拡張のリリース直前にこういったギャンブル仕様を出すことで、【ガジェッツァン】で消費されるゴールドをお金にしたいという強い気持ちが感じられる。

このことから考えて、次回拡張前にも同様の(もしくはもっと射幸性を増した)【ヒロイック喧嘩】が実施されると予想される。

 

おそらく、当初の予定では【闘技場】が、この余ったゴールドを消費するものになるはずだったのだろう。しかし、現在の【闘技場】には、上級者がゴールドを支払ってまでほしい物も名誉もない。

ただ待っていたのではユーザーがプールするゴールドは増えていくばかりである。そうした状況を打開するため(の手がかり)として、【ヒロイック喧嘩】は実装されたと考えられる。

 

と、いろいろ書いてきた。ここに書いたのは確かに俺の想像だけれど、実はこれに似た経験をしたことがあるので、ほぼこの動機で間違いないと思っている。

以前、ソーシャルゲームの運営に携わっていた時、ユーザーの持つ資産が大きくなりすぎて困ったことがあったのだ。本当なら、資産をうまく消費させて課金につなげるバランスにするのが理想なのだが、ユーザーはこちらの予想を軽く超える。

「おそらくこのくらいだろう」とこちらが設定したラインなんて優に超えて、時に理論値限界みたいな動きをするユーザーもいる。先ほど「年間300日稼働したとして」なんて書いたけど、マジで年間365日全ての報酬を取りきるユーザーもいる。ハースストーンにもきっといるのだろう。そして、毎日じゃなくても300日分とかそのレベルならきっと掃いて捨てるほどいる。間違いない。で、そんなユーザーのデータを見ながら「これヤバくないっすかね」なんて会話が開発室で起こっているのが目に見えるようだ。

しかしそんな時、報酬を削ったりしたら大ブーイングが起こること必至である。今まであるものは残しつつ、どうにかして資産の消費をさせなければならない。

 

それでひねり出したのがこの【ヒロイック喧嘩】だと思うんだよな。

いや、その気持ちはすごく良くわかるから。