無理しないハースストーン

無理しないハースストーン

ハースストーンやらなくなったなー

ヒロイック喧嘩について

少し前の話だが、ハースストーンに【ヒロイック喧嘩】というやつが実装された。

 

簡単に言うと、自分の組んだデッキで戦う闘技場である。

自分で組んだデッキを使わなければいけないので、必然カード資産の多いベテランユーザーが有利になる。それ以前に、入場料が1200円もしくは1000ゴールドなので軽い気持ちでは参加できないコンテンツである。

しかし、その分報酬は破格で、12勝すれば50パックにゴールデンレジェンドが3枚も付いてくるし、入場料以上の1100ゴールドがもらえる。期待値がプラスになるのは5勝3敗から。実現するためには、勝率62.5%を叩き出さなければいけない。

つまり、腕に自信のあるやつだけ来い。強い奴にはいいもんやるぞ。という非常に射幸性の強い遊びだ。

 

でね。

こんな波の荒さなもんだから、どっちかって言うと否の方が多いわけよ(個人の感想です)。通常の酒場の喧嘩を飛ばしてこの【ヒロイック喧嘩】を実施したのもあって、完全に初心者お断り、むしろ中級者もお断り。上級者でも二の足を踏むレベル。

なんでこんなの実装したのかなー。って考えて、思い当たることがあったのでここに記すものとする次第である。

 

結論から言うと、【ヒロイック喧嘩】の目的は『上級者の余剰リソースを減らすため』で間違いない。

この手のゲームって、課金しない人も遊べるように、毎日少しずつ時間を使っていればそこそこ遊べるようになっている。そうしないと、お金使わない人が意欲をなくしてしまい、ユーザー数が減るからだ。

あれ、課金する人だけ残ればいいんじゃないの?

と思われるかもしれないが、それでは実ユーザー数がものすごく少なくなってしまうので、潜在的なユーザーへの広がりが鈍くなってしまう。ユーザー数を多く保つことで、そこからの広がり(例えば『友達を誘う』などのゲーム外部への動き)が活性化するため、新しいユーザーを獲得しやすくなる。その結果、課金ユーザーも増える。

ハースストーンの場合も、クエストを消化したり勝利を積み重ねることで、がんばれば一日150ゴールドは手に入れることができる。例えば年間300日稼働したとして、一年で45000ゴールドが手に入る。

現在、ハースストーンの年間スケジュールは『拡張*2』と『アドベンチャー*1』なので、アドベンチャー分の2800ゴールドを引いて42200ゴールドをパックで使用できることになる。

つまり、一拡張につき21100ゴールド。211パック。

 

うん、これで十分じゃね?

しかも、ある程度課金しているユーザーなら、これよりさらに多くのパックを手に入れることができるのだ。必然的に『ゴールドは余る』。

で、余ったらどうするか。普通の人なら、ある程度のところでパックを引くのをやめて『次の拡張のためにとっておく』だろう。そうしている間にも、日々ゴールドは溜まっていく。つまり、あるユーザー層では『ゴールドの消費より収入が上回った状態』になっていると予想される。

こうなると、課金する意味がなくなる。日々の収入さえちゃんとこなせば、拡張がリリースされても無くならないくらい、ゴールドはあるのだ。課金なんてしないだろう。

 

というわけで、この状態を解消するために【ヒロイック喧嘩】は実装されたと見て間違いないだろう。それを裏付ける理由は他にもある。

 

・ターゲットが上級者

前述の通り、明らかに上級者を狙った仕様は、『ゴールドが余っている層から減らしたい』という意図を感じる

 

・報酬にゴールデンレジェンドがある

基本的にゴールデンレジェンドは、自分でわざわざ作らない。つまり、カードリストがほぼ埋まっているユーザーでも、持っていないカードが多い。よって、それを報酬として出すことで、最上位のユーザーでさえもゴールドを消費してくれる可能性が高まる。

 

・【仁義なきガジェッツァン】のリリース2週間前

おそらくこれが一番大きい。新拡張のリリース直前にこういったギャンブル仕様を出すことで、【ガジェッツァン】で消費されるゴールドをお金にしたいという強い気持ちが感じられる。

このことから考えて、次回拡張前にも同様の(もしくはもっと射幸性を増した)【ヒロイック喧嘩】が実施されると予想される。

 

おそらく、当初の予定では【闘技場】が、この余ったゴールドを消費するものになるはずだったのだろう。しかし、現在の【闘技場】には、上級者がゴールドを支払ってまでほしい物も名誉もない。

ただ待っていたのではユーザーがプールするゴールドは増えていくばかりである。そうした状況を打開するため(の手がかり)として、【ヒロイック喧嘩】は実装されたと考えられる。

 

と、いろいろ書いてきた。ここに書いたのは確かに俺の想像だけれど、実はこれに似た経験をしたことがあるので、ほぼこの動機で間違いないと思っている。

以前、ソーシャルゲームの運営に携わっていた時、ユーザーの持つ資産が大きくなりすぎて困ったことがあったのだ。本当なら、資産をうまく消費させて課金につなげるバランスにするのが理想なのだが、ユーザーはこちらの予想を軽く超える。

「おそらくこのくらいだろう」とこちらが設定したラインなんて優に超えて、時に理論値限界みたいな動きをするユーザーもいる。先ほど「年間300日稼働したとして」なんて書いたけど、マジで年間365日全ての報酬を取りきるユーザーもいる。ハースストーンにもきっといるのだろう。そして、毎日じゃなくても300日分とかそのレベルならきっと掃いて捨てるほどいる。間違いない。で、そんなユーザーのデータを見ながら「これヤバくないっすかね」なんて会話が開発室で起こっているのが目に見えるようだ。

しかしそんな時、報酬を削ったりしたら大ブーイングが起こること必至である。今まであるものは残しつつ、どうにかして資産の消費をさせなければならない。

 

それでひねり出したのがこの【ヒロイック喧嘩】だと思うんだよな。

いや、その気持ちはすごく良くわかるから。

デッキ紹介: キュレーターパラディン

こんにちは。

 

9月は健康上の理由により、あまりランク戦ができなかった(ランク戦みたいなマジの対戦をすると、動悸が始まってやってられなくなった。やはりeスポーツもスポーツだな)。なので、9月にメインで使おうと思っていたデッキの紹介をしようと思う。

題して【キュレーターパラディン】。

キュレパラって略すといい語感ではないでしょうか。

 

【現在使用中のキュレパラ(6060魔素)】

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1. なぜこのデッキを作ろうと思ったのか

カラザンリリース後、誰しも一度は考えたと思う。【キュレーター】を使って種族ミニオンを引いて、【動物園ロボ】とか【動物園の奇術師】とかでバフしまくるデッキ。

でもあんまり見ないですわな。

【キュレーター】が入ってるとしても、メインは一種族だけで、他の二種族に関しては使いやすい【暴走コドー】とか【サー・フィンレー・マルグルトン】とかがピン差ししてあるだけ。

理由は簡単で、実際に三種族もりもり入ったデッキだと偏って安定しないんだ。種族シナジーも不発になることが多くなるし。

そういう経緯で、例えば「ドラゴンウォリアー」に【キュレーター】を入れることで、有用な獣とマーロックを引いてくる、みたいな動きのデッキになっていったと推測されるわけである。

うん、良くわかる。

 

でもさ、それじゃつまんなくね?

【動物園ロボ】って、3マナ3/3が出たうえで最高+3/+3するっていうところがやばいわけで、そのダイナミックな動きを使った方が楽しいんじゃね?

っていうのが、このデッキを作ろうと思ったきっかけである。

(いや、【キュレーター】自体は挑発も持ってるし、理論値で1.5枚も引けたら優秀だとは思うんだけどね)

 

で、次にその動きが実現できそうな(三種族入れてうまく回りそうな)ヒーローは何かを考えた。もともと「ドラゴンなんちゃら」とか「マーロックなんちゃら」とかあるヒーローは、ベースとなるデッキに他の種族を足して調整していけば良さそうだ。

ドラゴンなら、ウォリアー、プリースト、パラディン。マーロックなら、パラディン一択なのかな。獣なら、ハンターかドルイドが良かろう。うーん。

 

いろいろ考えた結果、俺はパラディンを選択した。

パラディンには、ドラゴンシナジー、マーロックシナジーを生かしたデッキが既にあるので、相性が良さそうだったからだ。

しかしそれよりもずっと重要な決め手になったのは、パラディン専用カード【バイルフィンの異端審問官】である。

こいつはすごいぞ。たった1マナで1/3の優秀なスタッツ。これだけで序盤に出てくるヘルス1-2のミニオンにある程度対処できる。

そして何より、ヒーローパワーでマーロックが出せるようになる。2マナで自由にマーロックを出せるというのは、使ってみると本当に便利なのだ。例えば、場に獣が一体しかいない状態で【動物園ロボ】を持っているとする。本来なら【動物園ロボ】を出しても獣に+1/+1されるだけだが、ヒーローパワーでマーロックが出せることにより、効果は+2/+2になる。これって本当に優秀な動きなのだ。

さらに、自身もマーロックであることにより、生き残っていたらバフの対象にもなる。入れない意味がないとすら言える、超優秀なキーカードである。

 

2. 試行錯誤の日々

で、最初は【謎めいた挑戦者】や秘策を入れたデッキを作ったのだ。【救済】は種族ミニオンを少しでも場に残らせることができるので、バフが有効に機能しそうだと思った。【競争心】は横にミニオンが並んだ時にさらなるバフをかけることができる。

さらに、カラザンで追加された【番鳥】は、1マナで秘策を貼れるパラディンと最も相性が良さそうだったので、これらを盛り込んだデッキ「試作型動物園シークレットパラディン」を作ったわけだ。

 

しかしダメだった。

秘策が入ることで、全体のコストが低めに寄ってしまう。序盤の動きが弱くなり、秘策を貼るだけで終わったりして相手のミニオンに対処できないケースが多かったのだ。

さらに秘策と【番鳥】のコスト差が大きいことも問題であった。入れていた秘策は【救済】【懺悔】【競争心】が多かったのだが、これらは次の相手のターンもしくは返ってきた次の自分のターンで発動してしまうことがとても多い。

よって【番鳥】の効果「自分の秘策が準備されている場合、+1/+1と挑発を獲得する」は、秘策と同時にプレイされなければいけないことが多くなる。もし秘策をプレイした次のターンに【番鳥】をプレイしようとすると、まず相手が「ミニオンを出さない」「自分のミニオンを破壊しない」こと。そして「自分のミニオンが場に0体」という条件を満たさないといけなくなるわけだ。これはなかなか厳しい。

必然として、6ターン目以降にカード2枚と6マナを使って4/7挑発を出すことになるのだが、これは言うほど強くない。しかも、同時に出した秘策が【救済】だった場合、挑発を持っている【番鳥】が救済される可能性が高く、救済時には雄叫びの効果は発動しないのでただの3/1が復活するだけである。うん、弱い。

もし【番鳥】が獣かドラゴンだったとしたら、まだ一分の可能性はあったかもしれないが、奴は属性のないミニオンだ。入れる意味はあまり感じられなくなった。

このような経緯で、有効に機能しない【番鳥】や秘策は抜くことにしたのである。

 

その後、ミニオンをどんどん出していく現在のスタイルが強そうだとわかり、このデッキはテンポデッキになっていった。数日後、ひとまず完成の形として落ち着いたのが、先に出したデッキレシピである。

 

3. このデッキの何がいいのか

使ってみればわかると思うが、このデッキの良さは「意外性」である。何しろ他にこの手のデッキを使っているプレイヤーを見たことがないので、相手はこちらの手の内を予想することがなかなか難しい。

(もちろん広まってしまえば対策されるので、ここに書くのもドキドキではある。が、このブログにそんな影響力はないので大丈夫だろう。そういう意味では、あくまでもカウンターとしてのみ存在できるレベルのデッキであることは明記しておきたい。要は対策されても環境トップ、みたいな強デッキではない)

 

まず初手に近いところで【バイルフィンの異端審問官】や【マーロックの鯛ド変態】がプレイされると、相手はまず間違いなく「マロパラだな」と思ってくれるはずだ。俺が対戦相手なら絶対そう思う。

その後、こちらのデッキからは【宝飾のスカラベ】や【食糧庫蜘蛛】が出てくるわけだが、おそらくその時点では相手はこちらの意図を測りかねるはずだ。そもそも【食糧庫蜘蛛】が入ってるデッキなんて「進化シャーマン」ぐらいなので、パラディンに入っている意味は知らないとわからない。慎重でないプレイヤーの場合、ここでこれらのミニオンをスルーしてヒーローを殴ってくれることすらあるが、それはこちらの思うツボである。

【宝飾のスカラベ】も【食糧庫蜘蛛】も、実は獣なのだ。さらに特筆すべきは【食糧庫蜘蛛】が生み出した1/3の【蜘蛛】も獣なのである。「弱い」と思ってスルーされたこいつらは、ほどなく【動物園ロボ】で+1/+1される。さらに、場にマーロックが残っていた場合そいつらも+1/+1される。

例えば、1マナで【異端審問官】、2マナ時にコインを使って【食糧庫蜘蛛】、3マナ時に【動物園ロボ】をプレイできたとすると、下のような状態になっている。

 

3ターン目)

【2/4マーロック】【2/4獣】【1/3獣】【3/3ロボ】

 

軒並み序盤にしてはヘルスが高いので、除去されにくい。ということは、さらに【動物園ロボ】や【奇術師】でのバフが効きやすい状態になっているわけである。この段階(4マナ)ではAOEもほぼ3点まで、【オウケナイのソウルプリースト】+【回復の輪】とか【熱狂する火霊術師】+【平等】など強力なものもあるにはあるが、環境でそれほど目立ったヒーローではないので生き残る可能性は高い。

その隙にさらにバフを重ねることで、盤面を優位に保つことができるというわけだ。

 

もし意に反して(というか普通に)これらのミニオンが除去されたとしても、こちらはテンポを取りやすいマナカーブになっている。【トゥルーシルバーチャンピオン】は優秀な除去手段だし、アタックの高い危険なミニオンを出されたとしても【アルダーの平和の番人】が弱体化してくれる。【ブラックウィングの変性者】や【暴走コドー】など、相手のミニオンを処理しつつこちらのミニオンを出せる動きもある。

そうこうしているうちに、手札に複数のミニオンを生み出せる【食糧庫蜘蛛】や【鯛ド変態】をキープしておいて、満を持してミニオンを展開、即座にバフすることができれば、相手はプランを崩されたと感じるだろう。

 つまり、このデッキの基本戦略は「いろいろな種族のミニオンを途切れず展開し圧倒する」というものになる。

 

4. デッキメカニクスについてもう少々

ここではデッキの内訳と、特筆すべきカードについてはその役割を書こうと思う。

 

獣:5枚

【宝飾のスカラベ】*2

このカードは基本的にカードを追加する用途で使われることが多いので、獣属性も利用するとは気づかれにくい。パラディンに獣があまり使われないのも相手の裏をかくのに一役買っている。

さらに、本来の役割である「コスト3のカードを持ってくる」能力自体がかなり優秀でこのデッキにフィットしている。

デッキにも入っている【アルダーの平和の番人】や【ソード・オブ・ジャスティス】、ドラゴンシナジーのある【ナイトベイン・テンプラー】。

切り札として使えてしかも獣である【鉄嘴のフクロウ】は、コストが増えたおかげで【スカラベ】で引くことができるようになった。最後の詰めや、やばいミニオンに対して使用できる「沈黙」は、デッキにわざわざ入れるほどではないが【スカラベ】で追加する分には十分強い。

追加の【食糧庫蜘蛛】や、まだ引けてない時の【動物園ロボ】も強い。

優先度は落ちるが、上に書いたカードがなけれは、他の獣やマーロックが何枚もあるのでそれをピックしても良い。

他にも、呪文ダメージがある【ダラランのメイジ】なんかは、【聖別】と合わせれば全体3点になる。相手がzooやトークンデッキならアリだろう。雄叫びで2点出せる【アイアンフォージのライフル兵】や【クトゥーンの門弟】もいる。ドローしたい状況なら【苦痛の侍祭】もいる。さらに味方を強化できる【シャタード・サンの聖職者】や【レイドリーダー】もいる。突撃持ちもいるし、挑発持ちもいる。

さらに意外なところでは【フェンシングのコーチ】も、マーロックを1回だけ0マナで召喚できて悪くない。【ブラン・ブロンズビアード】は【動物園ロボ】等のバフを強化してくれるし、【ティンクマスター・オーバースパーク】が味方のミニオンを変身させてしまったとしても、なんと変身後のミニオンは獣なのだ。

3枚の中から選べることを考えると、外れはほぼないと言っていい。状況に合わせて何かしら使えるカードを拾ってこれるはずだ。2マナでこれだけやってくれるのだから、素晴らしいの一言である。

 

【食糧庫蜘蛛】*2

前述の通り、相手からしてみたら最も意味の分からないカードだと思う。

しかしこちらからすると、獣が2体も召喚できるのでめちゃくちゃ使える。相手が蜘蛛を除去しようとした場合でも、ヘルス3のおかげで片方は生き残る可能性が高い。獣が場に残りやすいというのも有能なポイントである。

ただし、手札にバフがない場合は、元が非力なので出しづらい。遅くとも次ターンに強化できる見込みがある場合にプレイしたい。

 

【暴走コドー】*1

基本的には【キュレーター】で引いたらラッキー枠である。場にいるとまずいミニオン(たとえば【炎の王ラグナロス】とか)を【アルダーの平和の番人】で弱体化してから【コドー】で破壊するというコンボもあるにはあるが、弱体化した時点で破壊するほどでもなくなる場合が多いので、場合によりけりである。 

ただ、やはり獣なので【動物園ロボ】で4/6にすると安定感が出る。アタック<ヘルスは少なくともこのデッキにおいては正義。

 

ドラゴン:6枚

【フェアリードラゴン】*2

対象にならないのでメイジなどに強い、お手軽ドラゴン。序盤は出しておくだけで何回か殴れるし、終盤はドラゴンシナジーのために温存したりして、最終的には【動物園ロボ】などでバフできる。

2マナなので、これを出してからヒロパでマーロック、最後に【動物園ロボ】でバフしても7マナで済む。軽くて強い。

 

【トワイライトの守護者】*2

4マナで3/6挑発になる、守りのドラゴンである。何回も書いているように、ヘルスに重きを置いたミニオンは残りやすいのでこのデッキに合っている。

とりあえず出しておくだけで、相手が除去したくなる(=除去手段を使ってくれる)という意味でも安定した働きをしてくれる一枚。

 

【ドラコニッド・クラッシャー】*1

【イセラ】*1

一枚しか入ってないのは【キュレーター】で引くためである。どちらもフィニッシャーとして終盤に使うカードなので、一枚あれば十分。

たとえ序盤に引いたとしても、ドラゴンシナジーの役に立つのでOK。

 

マーロック:3枚(+ヒーローパワー)

 【バイルフィンの異端審問官】*2

先に書いた通り、このデッキの核となるカード。これが手札にあるのとないのでは全然違う。ただの1/1シルバーハンド新兵なんてもう使えないよ!

 

【マーロックの鯛ド変態】*1

マーロックであれば何でもよかったのだが、挑発が出ることで本体が生き残りやすいのでこれを選択。ただし、ヘルスが1なので安定感はない。

終盤にヒーローパワーで1/1を出すよりは強い。

 

【ヒーローパワー】

このデッキは、パラディンのヒーローパワーが最も輝くデッキであると言っていい。それくらい重要。

2マナ1/1が、2マナ2/2になると言っても過言ではない、と言っては言い過ぎだが事実。それくらい大切、ほんと好き。

 

その他のミニオン:9枚

【アルダーの平和の番人】*2

相手がドヤ顔で出した大型ミニオンに使うべし。現環境では【炎まとう無貌のもの】とか【魔力の巨人】とか【サバンナハイメイン】とかに使えると最高。

 

【動物園ロボ】*2

【動物園の奇術師】*2

これもこのデッキのキーカード。いくら他のミニオンをたくさん出しても、これらを出すことができなければ圧倒できない。

常に手札にある枚数を確認しつつ、どのタイミングでバフするのがいいか探るべし。基本的には種族ミニオンを先出しして、次ターンのアタック前にバフしてびっくりさせるのが効果的だが、マナが足りていて全体除去が来なさそうな場合はどんどん使っていいと思う。

三種族すべてにバフできると大変気持ちいいし、相手が焦るのが見えるようである。

 

【ブラックウィングの変性者】*2

普通の使い方でOK。3点を有効に使おう。

 

【キュレーター】*1

このデッキはドローがほとんどないので、手札が減ってきたタイミングで出せるとカードも心も潤う。

一番少ないマーロックでもデッキに3枚入っているため、ほぼ3枚、悪くても2枚は引ける。優秀である。

 

続いて残りの呪文と武器について。

 

呪文:4枚

【平等】*2

【聖別】*2

言わずもがな、相手ミニオンを一斉に処理するために使用するのだが、使い方には注意が必要である。

この2種類のカードは【平等】⇒【聖別】と使うことで相手のミニオンを全て処理できる。だが単体で使える場合には、極力単体で使うようにしよう。それぞれ単体でも相手のミニオンを全除去できる可能性があるカードなので、本当に厳しい局面以外では単体で使った方がいい。そうすれば全体除去が4回使えることになるからだ。

 

例を挙げるなら、相手がzooウォーロックの場合。

相手のミニオンにはヘルスが2以下のものが多い。【ナイフジャグラー】とか【闇の売人】とか【炎のインプ】とか。あとは【インプギャングのボス】や【禁じられし儀式】から作ら得れた1/1トークンとか。

なので、まずは相手がそういったミニオンを多数展開してきた時のことを考えて【聖別】をキープしておく。ある程度の数のミニオンが並んだら、一気に処理しよう。

しかし、zooにも時々ヘルスが多いミニオンがいる場合がある。【ダークシャイアの議員】や【森の巨人】、【ドゥームガード】などである。これらに対処するためには、時として【平等】を使わなければならない。

こちらの場にいるミニオン数が相手より多い場合は、【平等】単体で使ってから弱いミニオンを相手に当てて数を減らしていく。こちらのミニオンもヘルス1になるが、【動物園ロボ】なら2にできるし【奇術師】なら3まで増える。【平等】と合わせても5マナと7マナなので十分に狙えるだろう。

もし相手のミニオンがこちらより多い場合は、ようやく最後の手段として【平等】+【聖別】のコンボを使おう。この場合も6マナしか使わないので、9マナ以上あれば【動物園ロボ】を使う余地はある。

 

こんな感じで相手に合わせてプレイしていけば、呪文は4枚で事足りる。このデッキは場にミニオンを展開することを主眼に置いているので、【平等】だけ【聖別】だけでも十分対処できる場合が多いのだ。強いからと言って常にコンボで使用していると、最高でも2回しか使えないのでリソースで負ける可能性が高いだろう。

 

武器:3枚

【ソード・オブ・ジャスティス】*1

正直ここは迷っている。入れ替えを考慮に入れた、最後の1ピースと言ったところだ。

使い方はもちろん、【食糧庫蜘蛛】や【マーロックの鯛ド変態】といった複数召喚ミニオンをどんどんバフしていくというもの。バフのために使った【動物園ロボ】を4/4にすることもできるので、気が付いたら手が付けられないほどミニオンを育てることもできる。

しかし良いことばかりではない。このカードを使ったことがあるならわかると思うが、流れるようにうまく強化できないことも多い。5回使い切るまでにある程度ターンが必要なので他の武器を装備できないし、途中で【ハリソン・ジョーンズ】を使われると最悪である。

が、ミニオンを横展開するこのデッキには基本合っているし、実際はまれば強いので一枚だけ入れている。何なら【平等】でヘルス1にしたミニオンを倒せるのもいい。

このデッキは明確にドローが少ないので、環境によってドローソースと入れ替えるということも十分に考えられるだろう。今後コントロール寄りのデッキが幅を利かせる環境になったら、ドローできるカードに変えた方がいいと思う。

 

【トゥルーシルバーチャンピオン】*2

特に書くことはない。パラディン必携の武器である。

 

5. マリガンについて

必ずキープしたいのは以下の2枚である。

バイルフィンの異端審問官】

【動物園ロボ】

 序盤のテンポを取るためにどちらも必要だが、【異端審問官】の方がより優先される。極端に言うと【異端審問官】がなければ全交換でもいいくらい必須である。

それに比べると、【動物園ロボ】は少しだけ落ちる。しかし3マナ最大+3/+3のバフは、使いたいタイミングに手札にあることが求められるので、初期にキープしておいた方がいい。

ここでバフの使い方についてちょっと書いておこう。バフをかけるタイミングは、大きく3つに分けられる。

 

 ① 相手のミニオンを倒したい

 ② 味方のミニオンを守りたい

 ③ ヒーローを殴ってプレッシャーを与えたい

 

③は終盤の詰めで、ミニオンよりもヒーローを優先して殴りたい時だ。

このデッキには直接ダメージを与えることができるカードが何枚かあるので、ダメージ計算をした結果、ヒーローにプレッシャーを与えた方が良いと判断した場合には、とりあえずミニオンをバフするという攻めの使い方ができる。

 

次に①。序盤から中盤、相手の予想を上回ることで盤面の優位を取るために使う。たとえば【獰猛なサル】が相手の場にいて、こちらのミニオンを総動員しても倒せないような状況。

 4ターン目)

      【獰猛なサル 3/4 挑発】

【異端審問官 1/3】【食糧庫蜘蛛 1/3】【蜘蛛 1/3】

この状況では、こちらの全てのミニオンで攻撃しても【獰猛なサル】を倒せない上に、こちらのミニオンのヘルスは全て3なので殴るだけ無駄である。相手も当然、そう考えて【獰猛なサル】を出しているはずだ。この状況を一発で返せるのは【トゥルーシルバーチャンピオン】ぐらいである。

しかし、ここで【動物園ロボ】をプレイすることができればこうなる。

4ターン目)

         【獰猛なサル 3/4 挑発】

【異端審問官 2/4】【食糧庫蜘蛛 2/4】【蜘蛛 1/3】【ロボ 3/3】

何ということでしょう。

2/4の二体で殴って【獰猛なサル】を倒しても、全てのミニオンが生き残るのだ。さらに次のターンまで【食糧庫蜘蛛】が一体でも残っていれば、ヒーローパワーを使用した後【動物園ロボ】を出すことで、+2/+2のバフをかけることができる。とても効果的にバフを使えることがわかるだろう。

しかしもし、このタイミングで【動物園ロボ】がなかったらどうだろうか。【異端審問官】も【食糧庫蜘蛛】も一撃で倒されてしまうので、相手に有利な方向に進んでしまうだろう。


最後に②。これは主に全体攻撃からミニオンを守るための使い方だ。相手のヒーローが持っている全体攻撃に対して自軍のヘルスが足りない場合、バフすることによってミニオンを残そうとする動きである。

たとえば全体1点。ウォリアーと対戦する時に最も気を使うべき攻撃だが、メイジやシャーマン、ローグを対戦する時も頭に入れておこう。ドルイドの【なぎ払い】も全体1点として考えよう。

相手が上に書いたようなヒーローの場合、かつ自軍にヘルス1のミニオンがいる時には、率先してバフをかけてミニオンを守る。ミニオンを生き延びさせる行為は、そのままバフが有効に機能する可能性を生み、さらなる盤面の優位をもたらしてくれる。

しかし相手の全体攻撃が先に飛んできてしまったら、ミニオンは消し飛び優位はことごとく消滅してしまうのだ。全体攻撃が来そうなタイミングを常に窺い、先手を打ってバフをかけることがどれだけ重要か、わかるだろう。

 

以上のように、バフは「使うタイミング」が非常に重要である。最高のタイミングで使用することで、ミニオンはより多く場に残り、さらなるバフを使うことができる。うまく使えばどんどん好循環が生まれるのだ。

このデッキを使う上で、バフのタイミングを逃さない手札運用はとても大切だ。マリガンで【動物園ロボ】を1枚キープしておきたい理由はそこにある。

3マナ以降、いつでも【動物園ロボ】を使いたくなる場面は起こりうる。初期の手札に【動物園ロボ】が1枚もない場合、3ターン目までに引ける確率はおよそ21.4%。だいたい5回に4回は、バフを使えない状態で中盤に突入しなければならないのだ。

【動物園ロボ】は必ず取っておこう。

 

ではマリガンに戻る。

次点で検討するカードは相手ヒーローによって考えるが、テンポデッキなので基本的には早めに展開できるミニオンを取るようにしよう。

【フェアリードラゴン】は序盤に強いミニオンが出ないプリーストや、呪文を使うメイジ、ローグの時はキープする。【トンネルトログ】を倒せるのでシャーマンにも有効だ。

【マーロックの鯛ド変態】は、出現する2体どちらもヘルス1なので、ヒーローパワーで倒されてしまうメイジ、ドルイド、ローグは避ける。ウォリアーも1点が出やすいので優先順位は下がる。逆にパラディンは、【聖別】までミニオン以外の除去手段がないことが多いのでキープして良い。

相手によっては【アルダーの平和の番人】をキープしておこう。7/7が早めに出る可能性があるシャーマンとの対戦では、マストキープに近い。

zooウォーロックに対しては【聖別】がとても有効なので、初手の段階で取るのが望ましい。ある程度相手のミニオンが並んだ段階で【聖別】を打つことで、こちらの優位を取ることができる。

【宝飾のスカラベ】はこのデッキでとても輝くカードなので、他に選択肢がなければ初手でキープして良い。数少ないドローカードのうちの1枚なので、これを出すことで序盤の安定が見込めるからだ。2ターン目に獣を出せて、さらに相手に合わせたカードを手に入れられるというのはとても大きい。

その他、初手で許容できるのは【食糧庫蜘蛛】【トゥルーシルバーチャンピオン】まで。それ以外のカードは交換するようにしよう。

 

6. 戦術の補足

基本戦略は「テンポを取ってミニオンで圧倒する」こと。無駄なターンを極力少なくしてプレイしていくことが、そのまま勝利につながるデッキである。

ただし例外もある。ミニオンを並べるデッキにとって危険なカードを相手が持っている場合だ。

具体的には【乱闘】や【オウケナイのソウルプリースト】+【回復の輪】、【熱狂する火霊術師】+【平等】のような強力な全体除去の可能性がある場合は、むやみにミニオンを出さない方がいい。相手が上記の全体除去を使いたくなるようなぎりぎりの数(経験上3体強。4体なら躊躇なく使ってくる)にとどめておき、残りは手札で温存する。

被害を最低限に抑えて、貯めておいた手札でまたミニオンを展開する。プリーストを除いて全体除去は多くても2回なので、手札と相談しながらうまくやり過ごせると、こういったデッキに対しても勝率は上がってくるはずだ。

 

7. 最後に

誰かすごく流行らない程度に使ってみてくれないか。低ランクだけど先月末から8連勝中。悪くはないと思うんだ。

あと「キュレーターパラディン」って名前つけたけど、言うほどキュレーター必須なデッキでもない。本質を正しく述べるなら、「動物園テンポパラディン」だろうな。「キュレパラ」って言いたいから変えないけども。

 

以上。

6月振り返り③ ヒーローと勝率の相関

6月振り返りの最後は、「ヒーローの出現率と勝率に相関はあるか」というテーマでお送りしたいと思う。

 

ヒーローの出現率には、波がある。

これは体感でも感じられることだが、1か月の間ずっと「各ヒーローが一定の割合で出現する」なんてこと、あるはずがない。その期間の中で、各ヒーローの使用頻度には流行り廃りが必ずある。

だとすると、その「流行り廃り」は勝敗にどれくらい影響したのだろうか。今回はそう言った観点からデータを見てみよう、という趣旨である。

 

まず、ある1戦を起点にして前後10戦ずつ、計21戦をひとつのまとまりとして考えてみる。ある程度のまとまりで考えることで、1戦ごとに出現率が極端に上下することを避けたのだ。簡単に言うと、移動平均のようなデータの平滑化をしたわけだ。

そして、この21戦のまとまり内での各ヒーローの出現率を、「中央の1戦における各ヒーローの出現率」と定義する。この方法で出した「各ヒーローごとの出現率」が、以下のグラフである。

 

ドルイド / プリースト / ウォーロック

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【ウォリアー / メイジ / パラディン

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【シャーマン / ハンター / ローグ】

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いいね。すごくいい。

グラフってすごく美しいよね。この線の軌跡に何らかの意味を見出すのって、すごく楽しいと俺は思います。

 

さて気を取り直して、これらのグラフから読み取れることは何だろうか。

ほぼ1か月ぶっ通しのデータで、かつ1日あたりの対戦数に大きな偏りはないので、このグラフを3つに分けて考えてみよう。つまり、6月上旬、中旬、下旬である。

すると、それぞれのパートで突出したヒーローがいるのがわかるだろう。

 

前半は【ウォーロック】。4割に迫る勢いでウォーロックと当たっている。これは、良く言われる「スタートダッシュに最適なのはzoo」という言説を裏付けるものだ。まずはzooでさっさとランクを上げよう、というユーザーが多いことがこのデータからもわかる。

しかし、ウォーロックはすぐに失速する。だいたい4~5日経過した時点で急激に減っているのがわかる。代わって【ウォリアー】と【ハンター】が3割弱のシェアを獲得するが、圧倒的ではない。

次に増えたのは【シャーマン】である。6月中旬に爆発的に増え、4割を超える出現率を叩き出した。データを見ると、ミッドレンジシャーマンが割合としては多かった。とにかくトーテムを先に処理しないと、まずいことになった思い出である。

下旬には【ウォリアー】が右肩上がりである。この頃からハゲの強さが広まり、【テンポ】【コントロール】【クトゥーン】【海賊】と、どれも一線級の活躍をしていたという印象である。現在は【ドラゴン】や【OTK】が増えて【テンポ】【海賊】は減ったが、今に至るハゲ全盛時代の幕開けがこのころにあったことをうかがわせる。

 

というヒーローごとの出現率グラフなのだが、これだけでも6月に起こったことが目に見えるようでおもしろい。しかしデータは過去のことなので、次にどういった変化が起こるかは予測しにくい。

例えば HearthPwn にアップされるデッキの数を数えたりすれば、次に流行するヒーローやデッキタイプの予測はできるのかもしれないが、それは大変だ。

そこで考えたのが前回書いた「デッキ出現率予想表」と、これから書く「ヒーロー勝率相関」である。

要は「ヒーロー出現率と勝率」の間の相関係数を出して、「どのヒーローとの対戦が勝敗に響いたか」を見てみようというのである。

 

まず「勝率」についても、「ヒーローごとの出現率」と同じように前後21戦で平滑化しておく。そして「ヒーロー出現率:勝率」の相関係数を出す。

便利なものでExcelにはCORREL関数というのがあって、これに2つの配列を入れればその2つの間にどの程度相関があるかを一発で出してくれるのだ。ありがたいね。

というわけで、そうして算出した相関係数がこちら。

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相関係数の絶対値が大きいほど相関が強いと言える。6月は通してテンポウォリアーを使用したので、テンポウォリアーの勝率と最も相関の強かったヒーローは【ウォリアー】だったということだ。

つまり【ウォリアー】の出現率が高いと勝率は下がり、【ウォリアー】の出現率が低いと勝率は上がる(相関係数が負なので)。

 

…そうなのか。初めて知った。

確かに、テンポウォリアーはコントロールウォリアーやクトゥーンウォリアーに対してかなり分が悪い。さらに6月終盤にはドラゴンウォリアーが出てくるようになって、それまであまり見かけなかったドラゴンウォリアー相手に3連敗している。

また、【ウォリアー】が環境に増えることで、それに対応するために【ウォリアー】に相性の良いデッキタイプが流行するというのも、【ウォリアー】出現率と勝率に相関がある理由の一つかもしれない。

【ウォリアー】増える ⇒ 対【ウォリアー】デッキも増える ⇒ 勝率さがる

というように。

 

プレイしている時には気づかなかったけれど、後から振り返ると納得。

データって面白いなあ。

6月振り返り② ヒーロー別にしてみる+相手デッキの推測について

さて、まず今回はヒーロー別の6月成績を見てみよう。

下の表は、それぞれのヒーローに対する勝敗数と勝率だ。こちらが使用したデッキはすべて【テンポウォリアー】である。

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左から、対戦数が多い順に並んでいる。【ウォリアー】【 ウォーロック】【 シャーマン,】【ハンター】の割合が多く、この4ヒーローで実に131戦。全体の75.7%を占めている。

ということは、この4ヒーローに対して100%の勝率であれば、最低でも75%は勝てるということになる。

それは無理だったとしても、4ヒーローに対して60%、残りのヒーローに対して40%という現実的な勝率があれば、全体として55%の勝率になる。

逆に、4ヒーローに対して40%、残りのヒーローに60%の勝率だと、全体としては勝率45%まで下がってしまう。

つまり【出現数の高いヒーローに対して強いデッキ】を選択することがとても重要だということである。

 

なんだ、当たり前じゃないか。と思われるかもしれない。しかし、俺はこれまでこんな当たり前のことにも気付いていなかった。

例えば、以下のような2種類のデッキチューニングがあったとする。

  1. 上位3ヒーローに対しての勝率をそれぞれ5%ずつ上げるが、下位3ヒーローに対する勝率を5%ずつ下げるチューニング
  2. 上位3ヒーローに対しての勝率をそれぞれ5%ずつ下げるが、下位3ヒーローに対する勝率を5%ずつ上げるチューニング

もしヒーローごとの出現率が同じならば、両者は同じ効果のあるチューニングである。しかし、ヒーローの偏りが6月の俺の遭遇率だった場合はどうなるか。

1.は全体の勝率を2.4%上げるが、2.は全体の勝率を2.3%下げる。同じ行為にも関わらず、全体の勝率に約5%もの差が出てしまうのだ。当たり前のことなのだけれど、デッキの調整をする際には忘れないでおきたいポイントである。

 

もう少し具体的に考えてみよう。

テンポウォリアーでプレイ中、ハンターになかなか勝てない。ハンターに対して少しでも勝率を上げるようにデッキを組み替えたのだが、その分他のデッキに対しての勝率が下がってしまう。

この時、「ハンターの出現率と勝率アップ分」に対して、「勝率が下がる他のデッキの出現率とその勝率ダウン分」を比較してみなければいけない。

もちろん、そんなに厳密に比較することはできないが、ある程度データが取れているのなら計算してみた方がいい。勝率を上げたいヒーローやデッキに対して、勝率が下がる影響のあるヒーローやデッキの出現率が低いのであれば、それはやる価値のある変更である。

今回のデータを使うと、こうだ。

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赤枠が全体の勝率である。

ハンターより影響の多いヒーローの勝率を下げてしまうようだと、せっかくハンターに対して勝率を上げても意味がない。逆に、影響が少ないヒーローの勝率が下がるのは問題なく、全体の勝率が上がっている。

このような意識的なデッキチューニングをすることが、勝率を上げるために必要であるということだ。

 

上ではヒーローごとの出現率は自分で取ったデータを使用したが、個人で取れるデータの量には限界がある。さらに精度を上げるため、俺はこんなサイトを参考にしている。

HearthStats | Hearthstone Statistics and Tracking

このページの下の方に、ランク別のヒーロー比率が載っている。

どうやってこれを出しているのかわからないが、ランクを跨いだ時に各ヒーローの比率がなだらかな増減をしているので、ある程度大きいデータを使用していると推測される。体感と大きな相違はないし、それなりに信用できるだろう。少なくとも、自分一人で取った母数の小さなデータよりはよほど信ぴょう性がある。

このヒーロー比率は、そのままどのヒーローとマッチングしやすいか、という目安になる。例えばある日の時点では、自分がいるランクのヒーロー比率はこんな割合だった。

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2位とダブルスコアに近い頻度でウォリアーとマッチングする。実に4回に1回である。この時点で、何となくウォリアーに強いデッキを選択した方が良いんじゃないかな、とわかる。

 

ここで、さらに突っ込んでデッキごとの出現率を求めてみよう。

もちろん個人のデータではそんなに正確に出せないので、目安で構わない。素早く、現実か遠いわけでもない数値を出せればいい。俺が使っているのはこんな方法だ。

まずHearthstats(さっきのページ)でヒーローごとの比率を調べる。

次にTempoStormを使う。

Tempo Storm

ここに最新のメタ情報が載っているので、それを目安に大まかなデッキ分布をでっち上げる。Tier1からTier2までの12種類のデッキに、上から順に重みを付ける。基本的には強いデッキから使用者が多くなると考えられるからだ。

一番上のドラゴンウォリアーは13点、2位のアグロシャーマンには12点、という風に重みを与え、最後に上位12デッキに入っていないものを「その他」として1点を付ける(※ここでは7/31の情報を使用しています)。

これだけだと机上の空論になってしまうので、現実の出現率を加味して重みを調整する。メタの移り変わりはそんなに早くないので、5日分のデータがあれば十分だろう。実際に対戦したデッキの出現率を、TempoStormのランク付けに加えて算出したのが下の表だ。

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これがつまり、予想されるデッキの出現率である。この場合は自分のランクを使ったので、「いま自分がいるランクで次にランク戦を行った際に当たるデッキの確率」になる。

 

最後に、各デッキの各デッキに対する勝率をかけ合わせて、現在の環境における各デッキの見込み勝率を出してみよう。

これもTempoStormを使う。Tier1と2のデッキには、それぞれ対戦相性表が付いている。必ずしも正しいとは限らないが、欲しいのは目安なのでそのまま使うことにする。

ドラゴンウォリアーであれば、【アグロシャーマンに60%の勝率 × 出現率6.5%】+【ヨグドルイドに45%の勝率 × 出現率7.2%】+ … と、全てデッキに対して勝率と出現率をかけたものを合算する。

そうして最終的に得られるのが、以下の表。まさに今、どのデッキを使うとどれくらい勝てるのかを示す表である。

(※ここまでの計算を、俺はExcelで作ってある。ランクごとの出現率と実際の出現率を入力することで、毎日素早く勝率の目安を出せるようにしてあるのだ)

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ウォリアーが多いにも関わらず、ドラゴンウォリアーがトップだ。次いで意外にもレノロック。ウォリアーに対して圧倒的に強いのがその理由だろう。さらにクトゥーンドルイド、zooロックと続く。

逆に、今使わない方がいいのはアグロシャーマン、OTKウォリアー、コントロールウォリアーであるとわかる。

 

もちろん、この数値通りにきっちり各デッキが出現するわけではない。

しかしこの計算表を一度作ってしまえば、一日の終わりに数値を入力することで、ある程度の予想を立てることができる。明日どんなデッキで行くか決める手助けになる。

 

時間がない我々のプレイ環境だ。判断に困る時もあるだろう。今日はどのデッキでプレイするか。もしくは相手が特定のヒーローだった時、どのデッキの確率が高いのか(=どんなマリガンが正解なのか)。などなど。

こうした計算が少しでもその判断の足しになるなら、十分に意味のあることだと思う。

もし結果がうまくいかなかったのなら、そのデータをフィードバックして確率を修正すればいい。そうした積み重ねが、より良いデータになっていくのだ。

だからデータを取っておくに越したことはないよ。というお話である。

 

(※今回用いたのは、ちゃんとした統計手法ではありません。あくまでも目安程度にしましょう)

6月振り返り① 前後半に分けてみる

今回は、6月のデータを振り返る回である。

いまさら6月かよ、と自分でも思わなくはなかったが、やってみたら意外と楽しかったのだ。

 

まず、6月の通算成績。

172戦104勝68敗、勝率60.5%。

稼働日は20日として(週4日+α)、1日あたり8.6戦だ。行きと帰りで半分にすると、片道の電車内で4戦強。だいたい自分の感覚どおりである。

正直、6月までは1か月ずっとランク戦をやることなんてなかったんだけど、積み重なれば意外とできるのだなと思った。

(もちろん、ヘビーユーザーに比べたらめっちゃ少ないけども)

 

次に、成績を前半と後半に分けてみる。

前半はランク5に到達した6/16まで、後半はランク5以降の戦いである。

 

【前半】

基本的に右肩上がり。少しへこんでいるところもあるが、ランク5までは連勝ボーナスがあるので上がりやすかった印象。

この間、58勝31敗で勝率65.2%。

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【後半】

問題は後半だ。途中連勝を伸ばしたところもあるが、基本的には横ばい。連勝ボーナスがなくなったことで、ランクの上がりが鈍い。

さらに体感として、この辺りから相手が強くなった気がした。

後半は46勝37敗で勝率55.4%。

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こうしてグラフにして見ると、ランク6あたり(前半の70戦目近辺)から、天井にぶつかったようにランクの上がりが悪くなっているのがわかる。

実際、勝ったり負けたりを繰り返して、なかなか上がらないなと感じていた。

 

しかし、これだけだと「ランクが上がれば相手も強くなるよねー。勝てなくなるよねー」で終わってしまう。さらに考察を進めてみることにしよう。

 

この「6月振り返り」記事は、3回構成の予定で進める。

次回は「相手ヒーローごとの成績」から読み取るメタの変化。

次々回は「ヒーロー出現率と勝敗の相関」について書こうと思う。

 

何だこれは。講義か。

ステップ3 : 実戦開始

デッキを作ったら、さあ実戦だ。

まずは自分がプレイできる環境を確認しよう。そして、それによってどんなスタイルで戦うかを考えてみよう。

 

ちなみに俺のプレイ環境はこうである。

場所:電車内

時間:片道30~45分

端末:iPhone

 

家から会社への遠さが功を奏して、乗り換えなしで30分以上電車に揺られる時間がある。基本的には近い方がいいが、まとまったプレイ時間という意味では好都合だ。

というわけで、俺はこの電車での時間をがっつりハースストーンに使うことを考えた。もちろん環境は人によって違うので、朝食時に時間を取るとか、昼休みに時間を取るとか、いろいろな戦いの形があるだろう。

これから俺が書くことは、行き帰りの通勤電車内でプレイするスタイルを前提にしてやっていることだ。もし他のスタイルでプレイするのなら、それに応じた修正をした方が良いと思う。

 

気を付けることがいくつかある。

  1. 最初に頭を切り替える
  2. 対戦中に起こったことはできるだけ覚えておく
  3. 対戦を終えたら必ず振り返る
  4. 負けても怯まない
  5. プレイしない時も必要

順に説明しよう。

 

1. 最初に頭を切り替える

朝の最初の試合と夜の最初の試合は、頭を切り替えるためにランク戦以外の試合を一戦こなすようにしている。

時間がもったいないと思われるかもしれないが、それよりも大事なことがある。朝のまだ頭が起きていない時や、仕事終わりで頭が仕事モードの時は、不注意なミスを起こしやすい。普段ならできるプレイができなくてランク戦を落とす方がもったいないのである。

まずはカジュアルや、メインでない方のランク戦(俺の場合はスタンダードメインなので、ワイルドのランク戦)をプレイして頭をハースストーンに切り替えるのだ。

頭が切り替わっていないと、いつもなら警戒できることに気づかなかったりする。何となくプレイしてしまう。結果として負ける確率が高くなる。

いきなりランク戦だとプレッシャーがかかってしまうので、自分の気持ちを慣らすという意味もある。行けると思える時は最初からランク戦でもいいが、一戦こなしてからの方が気持ちと頭を切り替えられて安全だ。と、俺は思う。

 

2. 対戦中に起こったことはできるだけ覚えておく

電車の中にデッキトラッカーはない。メモする物もない。いや、メモしようと思えばできるが、電車の中で立ちながらスマホとメモ帳(リアル)を持ってプレイするというのは現実的ではない。

必然的に、スマホの中で起こっていることは自分で記憶するしかない。

全てを覚えておくのは、確かに難しい。しかし、重要なことだけなら意外と覚えていられるものだ。

例えば相手が後攻の時、コインを使ったかどうか。これを覚えていると、次に何マナの選択肢があるのかわかる。

相手がシャーマンの時、【溶岩爆発】を何枚使ったか。メイジの時、【ファイアーボール】を何枚使ったか。これを覚えておくと、こちらのミニオンが倒される可能性が絞りやすくなる。また、自分のライフがリーサル圏内なのか判断することができる。

相手がハンターの時は、発動した秘策の種類と数。秘策を覚えることで、次に秘策が張られた時に同じ秘策の可能性を考えることができる。また【王のエレク】で引いたカードがあるならそのカードを覚える。覚えておけば、相手がそのカードを出す前から警戒することができる。

などなど、キーポイントとなることをまず覚えるように意識してみよう。本当に重要なことはそんなに多くないので、意識すれば覚えていられるはずだ。重要なことが覚えられたら、そのうち他の些細なことも覚えられるようになる。

前にも書いたが、ハースストーンは時間制限があるゲームだ。頭でいろいろ覚えていられると、大きな時間短縮になる。覚えて損はないだろう。

 

3. 対戦を終えたら必ず振り返る

時間のない我々にとって、最も重要なのがこれだ。いや、時間が有り余っていても重要なことだ。とにかく対戦が終わったら記録を付けよう。これをやるのとやらないのでは、上達速度にかなりの差が出る。

しかし俺の場合、ほとんど電車の中でプレイしているので、大がかりな記録を付けるのには向いていない。できるだけ内容のある記録を付けるために、メモ帳を立ち上げてこんな風に記録している。

【記録の例】

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だいたいわかると思うが、一応解説しよう。

①シャ②fw ③ミッド ④やはりトーテムを処理すると楽になる

①は相手のヒーローである。2文字に揃えるため、ウォーロックはヲロ、ウォリアーはヲリと記入している。

②は先攻ならf、後攻ならc。勝ったらw、負けたらlを付ける。

③は相手のデッキタイプ。まれに特定できないまま終わることもあるが、その場合もそれまでのプレイからもっともらしいデッキタイプを書いておこう。情報が多い方がいいので、何にせよ書くことが大事である。

④は振り返りである。明確なミスや、勝因はもちろん書く。それ以外にも気づいたことがあれば書いておいた方がいい。ほんの小さな気づきであっても、書くことによって記憶に刻まれ、次に同じ場面に遭遇した際に正しいかどうか判断できる。結果として正しいプレイングに結びつくことも多い。

 

こう言った記録を積み重ねることで、自分がどんなプレイをした時に勝てたのか、負けたのかを知ることができる。見返すことで弱点がわかる。さらに、より良いデッキチューニングに繋がっていくのである。

記録をしなければ、あるヒーローに対してどこが強くてどこが弱いのか、ぼんやりとしたイメージでしか把握できない。記録していれば、明確な勝因敗因がわかってくるのだ。

 

4. 負けても怯まない

これも重要である。「とにかく勝つぞ」と意気込んでみても、負ける時は負ける。何なら5連敗以上する時もある。そんな時、ついつい「これ以上ランクが下がるの嫌だな」と思って逃げてしまうことがある。

わかる。超わかる。

でも、やらなきゃ勝てないんだ。星は増えないんだ。

強いデッキを使ってあからさまなミスをしなければ、必ず勝ち越せる。時には何連勝もできる。限られた時間しかプレイできないからこそ、勇気をもって戦うのだ。

 

5. プレイしない時も必要

とか言っておきながら、プレイしない時も必要なのである。

例えば朝の電車の中とか、基本憂鬱じゃん。なーんもしたくない時とかあるじゃん。そんな時はプレイしないのがいいと思う。そんな状態でやったって集中できなくて負けるのがオチだ。

もちろん、やってみたら意外とうまくいくこともある。けれど、無駄に負けるくらいなら、自分の心の声に耳を傾けて休むのも必要なことだと思う。

(そもそもそんなに頑張りたくないから、こんな風にハースストーンを楽しもうと思ったわけだしな)

 

 

実戦編は以上だ。

限られた時間での実戦は、とにかく一戦を濃く戦うことが重要だと思う。真剣に戦って真剣に考えれば、短い時間でも強くなる。はず。

 

次回は(ようやく)6月の振り返りである。

ステップ2 : デッキを組もう

(※本記事は、自分がデッキを組む際にやったことを記した回顧録です。2016年6月には通用したけど、今は通用しないのでご注意ください)

 

さて、ある程度金を使ったら、今まで相手が使っているのを恨めしく見ているしかなかった、あんなカードやこんなカードを手に入れたことだろう。

次にやるのは、デッキを組むことだ。

 

まず手持ちのカードで組めそうなデッキを考えてみる。レジェンダリーもかなり揃っているはずなので、特定のレジェンダリーカードが必要なデッキをまず考えてみよう。

エドウィン・ヴァンクリーフ】があるなら、ミラクルローグを作ってみよう。【希望の終焉ヨグ=サロン】があるなら、トークンドルイドを作ろうか。【ジャスティサー・トゥルーハート】が出たら、コントロール。プリーストかウォリアーだけど、今ならウォリアーかしら。などなど。

ここで重要なのは、とにかく「いま強い」デッキを選択することだ。理由は強いから。強いデッキを選ぶことで、確実に勝率は上がる。

 

俺はスタンダード以降、こんな流れでデッキを選んだ。

まず【双皇帝ヴェク・ロア】をクラフトして、クトゥーンドルイドを組んだ。やはり最初はクトゥーンが強そうだったからだ。

しかしちょっと分が悪くなってきたので、アグロシャーマンとzooをスタンダードに対応させたデッキを作った。この時、思い切って【串刺しのゴーモック】をクラフトしている。スタンダード前は【ゴーモック】なしだったのだが、1枚の強力なカードで勝てることもあると思ったので入れた。

その後、パックから【炎の王ラグナロス】が出たことで、一念発起してテンポウォリアーを組むことになる。【ヴァリアン・リン】と【グロマッシュ・ヘルスクリーム】はクラフトだ。

 【テンポウォリアー その1】

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 で、ここで気づいた。テンポウォリアー強い、って。

何がいいかって、まずそんなに悩まなくていいところがいい。テンポデッキはテンポ良くカードを使い、盤面を取っていくデッキだ。相手のミニオンを除去しつつこちらのミニオンを残すことが勝利につながるため、考えることが少なくて済む。

基本は「除去しつつこちらの盤面を最大化する」ことだけ。しかもフィニッシャーとなるミニオンが複数いるので、テンポ良く対処するだけでなぜか勝っていたりする。

 

たとえばアグロシャーマンやzooの場合、ある時点で負けが濃厚になったらひっくり返すのは難しい。相手のライフを減らせないままこちらの【炎まとう無貌のもの】を倒されたり、ドゥームハンマーを装備した瞬間に【ヴェク・ロア】を使われたり、仕方なく呪文をミニオンの除去に使わなければいけなかったり。

しかし、テンポウォリアーは最後まで可能性がある。劣勢の時に【マルコロク】からドンピシャな武器が出て勝てることがある。もしくは【ヴァリアン・リン】から【ラグナロス】や【グロマッシュ】が出てあっさり勝てたりする。優秀なレジェンドがあるため、終盤の質がとてもいい。

そのことに気づいたのが5月末。で、6月はこれで行ってみようと思ったのである。

 

その後、ランク5になるくらいまでテンポウォリアーはとんとん拍子で勝ち進んだ。だが、決定的に分が悪い相手がいた。【荒野の呼び声】で中盤が圧倒的に強くなった、ミッドレンジハンターだ。他のデッキに比べて極端に勝率が悪かったので、当時はハンターと当たるだけで気持ちが負けていた。

テンポウォリアーが中盤まで武器や呪文でしのいでも、【荒野の呼び声】でライフを削られてやられてしまう。かと言ってハンター側のミニオンを残しておくと、【猟犬使い】で強化されて厳しくなる。そもそも「断末魔で獣が湧きだす獣」が4枚も入っているので、きっちり処理するので手一杯である。

 

どうすりゃいいんだ…。

俺は正解を求めてネットをさまよった。そしたらすぐに【シルヴァナス・ウィンドランナー】が入ったレシピを見つけたのだ。

最初はなんで入ってるのかわからなかった。しかし、考えてみたらこれがミッドレンジハンターに、というより【荒野の呼び声】の対策になるじゃないか。

相手の盤面に他にミニオンがなく、こちらに【シルヴァナス】がいる状態で【荒野の呼び声】を使うと、こうなる。

【5/2 突撃】【2/4】【5/4 挑発】

  【5/5 シルヴァナス】

 この場面、ハンターが突撃でフェイスを殴っても、次のターンこちらが【シルヴァナス】と挑発を相打ちさせることにより【4/2 突撃】か【2/4】のどちらかが手に入る。

突撃ならそのまま相打ちできるし、最悪でも【2/4】が手に入り相手の盤面に【4/2】。ウォリアーは2点なら出しやすいので、何らかの手段で【4/2】を処理すればこちらは【2/4】を生かすことができる。

突撃がフェイスではなく【シルヴァナス】に来た場合が一番弱いが、それでもフェイスにノーダメージで1体ずつ分け合う形になる。悪くないだろう。

つまり、ハンターの8マナ直前に【シルヴァナス】を出せれば、相手はまず【シルヴァナス】を処理しなければいけなくなる。抑止力として最適である。

(ただし、相手が【必殺の一矢】を残していそうな場合は、【シルヴァナス】以外のミニオンを残しておくなど工夫が必要である。そう言った場面ごとの修正は、やりながら気づいていく必要がある)

 

というわけで、【シルヴァナス】を入れて調整した後のデッキが下のものだ。

 【テンポウォリアー その2】

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 【ケーアン・ブラッドフーフ】は、【シルヴァナス】を引けなかった時の保険で入れた。【4/5】というサイズは【荒野】で出た【5/4 挑発】を倒せるし、その後断末魔で同じサイズが残るのもいい。

また実際に使ってみると、【シルヴァナス】は【クトゥーン】の抑止力にもなることに気づいた。相手の盤面にミニオンがなく、【クトゥーン】で逆転したいと相手が思っているであろう場面、【シルヴァナス】を出しておけば【クトゥーン】は出せなくなる。

これまで【シルヴァナス】のうまい使い方がわからずに何となく使っていたのだが、相手が出されると困る場面をしっかり把握することで、とても有効な手段になると初めて気づいた。これも、やってみなければわからなかったことである。

 

で、こうして6月のデッキは固まったのであった。

 

冒頭にも書いたけれど、ここに書いた内容は6月のことなのでもう古くなっている。今はミッドレンジハンターよりも注意しなければいけないデッキがあるし、テンポウォリアー側が有利だとされていたデッキでも、対抗策やプレイングの向上により勝率が悪くなっている。

だからこれはこれとして、デッキをどうするかは常に考えていかなければならないことなのだ。本記事はその道筋、やり方のサンプルとしてここに載せるものである。

 

次回は、我々にとってとてもとてもとても重要な、限られた時間でのプレイ方法について書く予定。