無理しないハースストーン

無理しないハースストーン

ハースストーンやらなくなったなー

夜明け前でもまだ明けぬ ~デッキ構築について②~

 

ウンゴロがやって来る。

ゴロゴロやって来る。


この時期は本当に、毎日リリースされるカードを眺めながら妄想するのが楽しいよね。だがしかし、そんな時期になぜこんな内容を書くのか自分でも疑問だが、今回はデッキ構築についてである。

新環境のカードは確かに気になるが、できるだけ現環境での模索を続けて「新環境で使えるアイデア」はないか、試しておくのも悪くはない。

例えばすでに過去のものとなった【クトゥーン】などが新カードによって劇的に復活することはあり得るわけだし、何より残り少ない現環境のランクマッチを楽しむためにも、今いろいろデッキを作る練習をしておくのはいいことだよね。

 

はい。

 

で、最近俺はデッキの構築についてそれなりに真剣に考えておったのである。もちろん世の中にはいろんなデッキの作り方ガイドがあって、参考にもしている。しかし我流のところもあるわけで、何となく今のデッキの作り方をメモしておこうと思った次第である。


俺は大まかに、以下のような流れでデッキを組んでいる。

1.デッキコンセプトもしくはキーカードを決める
2.デッキの速度と戦術を決める
3.確率を考慮に入れ、マナカーブを整える
4.試運転と推敲をしてなじませる
5.ランク戦に使い、微調整する

 

特に変わったところはないと思うが、他の人と被っているところを解説しても冗長になるので、特徴的なところだけ書こうと思う。

 

・勝とうと思うな

 

いきなり挑戦的なテーマである。でも、俺はこれが一番重要だと思っている。

もちろん最終的には勝った方がうれしいわけなので、厳密には勝とうと思っていい。しかしデッキを作る段階で「勝てるデッキ」を作ろうとするのは、あまり良くないと考えている。

 

なぜか。

勝とうとすると道筋が狭くなるからだ。「好きなように遊んでいいよ」よりも「勝つための方法を考えよう」の方が、選択肢が狭まるからだ。

例えば休みの日。

「どこでも好きなところへ行っていいよ」と言われたら、行きたいところへ行くだろう。しかし家族や他の予定との関連で「お台場から出ない範囲で、好きなところへ行っていいよ」と言われたら、相当に選択肢が狭くなるよね。

 

それと一緒(暴論)。

 

「勝とう」とすることで、デッキの選択肢は狭くなるのだ。で、選択肢が狭くなることで、知らず知らずのうちに今の環境を意識したり、強いデッキの対策をしなければいけないという意識が生まれて、デッキは縮こまる。本当に自由な発想でなく、何となく今の環境に収まった、行儀のいいデッキになってしまう。

それではダメだ。いや、正確にはダメではないが、それなりのデッキしか生まれない。突然現れる面白いデッキは、そんなやり方では生まれにくい。子供のような自由な心で遊んだ先に、エポックメイキングなデッキはあると、俺は信じる。

要は「たくさんデッキを作って、常識外のデッキを見つける確率を上げよう」ということだ。

(余談だが、こういった考え方は俺がむかし教わった「ブレインストーミング」のやり方に通じるものがある。今ではブレストも一般化して、ただの気楽なアイデア出しみたいな感じになっているが、その時先輩に教わったブレストは「あまり考えずとにかくアイデアを出す」「人の意見を否定しない」「そうすることで意図しないようなアイデアが生まれやすくする」というものだった。まさに脳みそに嵐を起こして、お行儀のいい体裁や、人からどう思われるかというくだらない自意識を取っ払う。そんな言葉の殴り合いのようなものだった)

 

……。

 

なんて言ってはいるが、本当は勝てるかどうかは二の次なのだ。

俺はそもそも「無理しないでハースストーンを楽しみたい」んだ。それを外したらやっている意味がない。やめた方がいい。目的は「楽しいデッキを作る」ことであり、「ワクワクするようなコンセプトを見つける」こと。

楽しいデッキをたくさん作ろう。

勝てるかどうか、メタを気にしておずおずと1〜2個のデッキを作るより、10個、20個、100個の失敗デッキを作ろう。

その中に絶対いいデッキはあると断言する。

  

では次。

 

・確率を意識せよ

 

もしかしたらこれは、人によっては必要ないかもしれない。なぜならばこの項は、デッキを確率の面から見てみようというものであり、「そんなこと気にするより、組んで戦ってを繰り返したほうがいいよ」って人もいると思われるからだ。

少しだけ複雑な内容も含まれるので、もし合わなかったら読み飛ばしてもいいと思う。けど、本当はここが結構面白いと俺は思っているので、よろしければどうぞ。って感じである。

 

さて、ではデッキを確率で考えるってどういうことか。ここでは、普段俺が気にしているアプローチについて書いておく。

それは「マナカーブ」と確率だ。良く「事故らないためにマナカーブを整える」みたいな文脈で聞きますな。序盤のテンポを失わないために、2マナまでを多めにデッキに入れ、そこからなだらかに減らしていく。等々。

この考え方は、闘技場では必須と言っていい。闘技場は一手遅れると後々まで後手を踏んでしまうことになりがちなので、テンポを失わないようにデッキを組む時点でマナカーブを重視してピックする。

うん、これはいい。

 

しかしだ。

構築戦でこの考え方ってどれくらい有効なんだろうか。そもそも闘技場と違って「敢えてカード出さないターン」もある。さらにドルイドに至っては「マナを増やすカード」があるので、闘技場のような「テンポを失わないマナカーブ」という考え方は、それほど有効でないのは明らかである。

けれども、構築デッキだからと言ってマナカーブを全く無視していいというわけでもなく、ある程度「カードの引きやすさ」は考慮する必要がある。

例えば「終盤に勝負を決めるデッキ」にコストの重いカードばかりを入れても、そこに至るまでにライフが0になって負けてしまうだろう。そこで考えるべきは、デッキのバランスを考えて中盤までの「相手の攻撃をしのぐカード」を入れることだ。

そう言った「構築デッキにおけるマナ構成」の考え方を、もう少し掘り下げてみたい。

 

まずは構築戦のデッキを分解して、それぞれの使用タイミングを明確にする。例えばこんなデッキ。

 

【アグロ動物園パラディン

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このデッキはコストの低いミニオンをバフして連打してバフするという、非常にアグレッシブなミニオン主体のデッキだ。プレイ中に考えることはバフの順番ぐらいで、基本は「攻め続けること」だというのは、このリストを見ただけでわかるだろう。

ではこのデッキで気をつけるべき「確率」は何か。それはドローカードを引くタイミングだ。

このデッキは手札が減るのが早い。唯一のドローカードである【神聖なる恩寵】をいつ引くかが、勝負を分けると言ってもいいだろう。引けなければ手札の差で負けるし、遅いデッキ相手に大量ドローできれば、押し勝てる可能性が増すだろう。

 では一体、2枚入っている【神聖なる恩寵】は、何ターン目までに引けるのか?

 

【n枚入っているカードが最低1枚引ける確率】

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このシートは、同じ用途で入れたカード群について、最低1枚引ける確率を引いた枚数別に出したものだ。

「ターン」「枚数」は、ドローカードを考慮しない場合のターン数とそれまでに引いた累計カード枚数。黄色い横軸が「デッキに入れた枚数」。

表内に「n枚入っているカードがxターン目に最低1枚引ける確率」がずらずら計算されている。(※1)

 

赤い数字は4回に3回その事象が起こる「75%」を超えた箇所だ。ここを目安にすれば、ある程度計算できる枚数は何枚なのかがわかるというわけだ。

一般的に闘技場で「2マナは7枚ピックせよ」などと言われるのは、この確率を基にしていると思われる。7枚デッキに入っているカードは、先攻の2ターン目(=5枚目のドロー)までに76.4%の確率で引ける。

4回に3回以上は2ターン目に2マナのカードをプレイできるわけだ。

この表を見れば「8枚にすると2ターン目までに引く確率が81.5%になり、5回に4回以上引ける」というような議論もできる。つまり「序盤の安定性を高めたい場合には7枚⇒8枚とする」という行為を確率で担保することができるわけだ。

 

では、この表を使って先ほどのデッキに2枚入っている【神聖なる恩寵】は、何ターン目までに引けるのかを見てみよう。

2枚入っているので、横軸2の列を見る。75%を超えているのは「累計15枚目」だ。つまり15枚引かないと「4回に3回、最低1枚以上【神聖なる恩寵】を引く」という条件を満たさない。

これは少々厳しい。

1枚以上引く確率を50%以上と低く見積もれば、9枚目(6ターン目)に条件を満たすが、それでは2回に1回はドローできなくて負けることになってしまう。

つまり、このデッキに対する有効な調整案は「もっとドローカード入れろ」である。

 

【アグロ動物園パラディン v2】

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【コールドライトの託宣師】を2枚入れ、これで3マナのドローカードが4枚に増えた。「4回に3回1枚以上【神聖なる恩寵】を引く」ためには9枚ドロー(=6ターン目)でいいことになる。

このデッキのカード1枚当たりの平均コストは2.23。5ターン目までに累計15マナが使えるので、6ターン目に入った時、期待値で6.7枚ぐらい使っている計算になる。その時の残りカードは「それまでのドロー総数9枚 - 使用期待値6.7枚」で2.3枚だ。

言い換えると「6ターン目でだいたい手札が2枚残っていて、3/4の確率でドローカードを1枚は引いている」状態であるということだ。

うん、これはちょうどいい感じになった。

もちろん、カードの平均コストが低ければまたすぐに手札切れを起こしてしまうので、そこはそこで調整する必要はある。しかし、確率の担保があることで「このカードは何枚必要」という判断理由が少し強固になったことは、感じていただけるだろう。

こんな風に確率を使うことでデッキのテンポを良くなり、バランス調整に役立つわけだ。

 

では別の例。

「コンボパーツが6枚入ってて、その内2枚引きたい」というような時はどうすれば良いだろうか。例えばこんなデッキ。

 

【OTKパラディン

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このデッキは、中盤まで【終末予言者】とか【平等】+【熱狂する火霊術師】でしのいで、終盤にOTKを目指すデッキだ。

コンボパーツとしては以下の5枚。

【レイヴンホルトの暗殺者】

【リロイ・ジェンキンス

【力の祝福】*2

【祝福されし勇者】

この内4枚を引けば最低19点出せる。

じゃあ5枚中4枚っていつごろ引けるのだろうか。上の表ではこれに答えることはできないので、また別の表を作りました。

 

【5枚中a枚以上引く確率】

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表の上部にある「キーカード枚数」というところが、コンボパーツだと思ってほしい。要は、デッキ内に何枚コンボパーツが入っているかだ。

「ターン」「枚数」は、前の表と同じ。ドローカードを考慮しない場合のターン数とそれまでに引いた累計カード枚数。

黄色い横軸は今度は「キーカードのうち何枚引けるか」だ。

実行ボタンを押すと、表内に「5枚入っているキーカードがxターン目にa枚以上引ける確率」がずらずら計算される仕組み。(※2)

5枚のうち1枚引ければokなら、7枚目で確率は75%を超える。5枚のうち2枚引きたければ14枚、5枚中3枚引きたければ19枚ドローしないと、確率が75%にならない。

 

そして目的の「5枚中4枚」は、25枚のドローが必要になってしまう。ドローカードは【苦痛の侍祭】と【しめやかな通夜】なので、デッキの半分の位置では4枚ぐらいのドローが期待できる。

よって、およそ18ターン目にはコンボパーツがそろうことが多い、という結論になる。

 

どうだろう。

果たして豊富な全体除去と回復で、18ターン目まで耐えられるだろうか。

それはやってみないとわからない。何度か実際にプレイしてみて「コンボパーツが揃うまで持たないことが多い」と感じたら、1枚だけ増やしてみよう。

 

【6枚中a枚以上引く確率】

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表を見ると、6枚中4枚引く確率が75%を超えるのは21枚目のドロー。先ほどと同じくドローカードを4枚と考えると、14ターン目まで早めることができた。これでまた何度かプレイして、デッキの精度を上げていくわけだ。

もちろんこれも、経験則でなんとかなるかもしれない。きっと経験のあるプレイヤーは、こんな計算をしなくても「いい感じ」にデッキを整えることができるだろう。

でも、俺はそこまで行ってないので、こんな計算を日々地味にやりながら、デッキを組むための目安にしているというわけなのだ。

 

さあ、クラーケン年に無理やり入れようとした、そんなブログエントリーはこれで終わりだ。次回は「ウンゴロレビュー」をやれればいいなあ。

 

(文中に(※1)(※2)と書いたところは、後で計算式を追記しようと思っています)

 

劇的に変わる 〜ウンゴロ所感その①〜

 

ウンゴロがそろそろやって来る。

 

www.youtube.com

 

やはり環境の入れ替え時は劇的だ。半数近くのカードがスタンダードでは使えなくなり、新たなメカニクスを持ったカードが多数登場する。今までの戦法が過去のものとなりほとんど意味をなさなくなるというのは、寂しくもあり、楽しみでもある。

 

以下、そんな来るべき恐竜時代で新しく導入される効果について、雑感。

 

【クエスト】

発動条件は厳しいものの、一旦発動することができれば相当な有利を得ることができる。しかも必ず初手に来るという話なので、完全にそれを目的としたデッキを組むことができる。

と同時に、相手にもクエストデッキであることを伝えることになるわけで、リターンに相応しいリスクも抱えることになるだろう。

まず、現在発表されているクエストの発動条件からして、ロングレンジのデッキになることが予想できる。ロングレンジのデッキということは、何らかの序中盤をしのぐ手段を持っているはずである。

とにかく盤面をコントロールしてくるはずなので、クエストデッキに対峙した際は、いかに「クエスト達成前に削りきる」かを考えることになるだろう。新環境のバランス次第だが、クエストのカウンターとして、やっぱり【海賊アグロ】のような超速デッキが流行しそうだよね。だって最初はどうしてもクエストデッキ組んでみたいじゃん。

 

【エレメンタル】

効果的に、連続してエレメンタルを召喚するようなデザインになっているので、基本的にはエレメンタルミニオンを連打して盤面を取り続ける【テンポエレメンタルデッキ】がメインになりそう。っていうか今のところそれ以外に思いつかない。

きっと強い効果のレジェンドエレメンタルを軸にしたデッキができるんだろう(適当)。

 

【適応】

クエストが長いレンジで戦い「決まれば勝ち」なのに対し、おそらく「爆発力はないがデッキの安定性」を与えるコンセプトで作られたと思われる。発見と同じく、それまでの戦況からベストな一手を打つことが求められる。

疾風やバフの効果はこれまで、呪文やミニオンの効果で与えられていたが、それらと大きく違う点は「そのミニオンの召喚時に選択する」ということだ(リリース前なので不明なところもあります)。

どんな選択をしたかが相手に見え、しかも次のターンまでそのミニオンは攻撃できない。今のところ適応と突撃を同時に持ったミニオンはいないので、そこまで爆発力はないように見える。

ということは、「こちらが選択し」「相手がそれに対応する」という順番になるわけで、必然的に先出しのこちらが不利である。疾風を付けても次の相手ターンで処理されてしまえばあまり意味がない。攻撃+3を付けることで、相手にプレッシャーを与えるようなプレイは考えられなくもないが、手段が多様なランク戦ではそれほど脅威にならないだろう。

現状で考えられるのは例えば、「聖なる盾」をメインにした戦法を取り、状況に応じて他の選択をするというようなものだが、それなら適応ミニオンでなくてもいいわけで難しい。闘技場ではめっちゃ活躍しそうだけど、構築では使いづらいかな、という印象である。

 

※ 3/24現在【Big Gentle Dinosaur】というカードが発表されている。効果は「味方のマーロックは適応する」というものだ。「これ以後プレイされるマーロックに適応選択が発動する」のか「その時盤面にあるマーロックが適応する」のかわからないが、いずれにせよ「そのターン攻撃できるミニオン」に適応の効果を与えることはできそうだ。ということは、疾風や攻撃+3でバーストダメージを出すような使い方も考えられるわけで、環境初期にありがちな「知らなくてリーサル負け」が起こりそうな予感。

 

3月雑感 ~本当はデッキ構築ガイドを書こうと思っていたのだ①~

3月である。

ハースストーンにおいて今年の3月は、年に一度のスタンダードの切り替わり直前のひと月だ。【レノ・ジャクソン】とか【ジャスティサー】とかがスタンダード落ちし、新しい環境への期待感もあって、どうしてもこの時期はダレてしまうのかもしれない。

 

そうでなくても、ハースストーンの更新は年に3回なので、4か月を同じカードで戦うのは結構飽きてしまう。

リリース後、最初のひと月はまあ面白い。新しいカードがたくさんあるので新鮮に楽しむことができる。

次のひと月は、大分こなれてくる。強いデッキも見えてくるし、使えるカード、使いづらいカードがわかってくるおかげで、新鮮さは半減している。

残りのふた月は、惰性とマイナーチェンジである。ある程度強いデッキを使いつつ、環境に応じた調整をして、対戦を消化する。

本当なら、最後のひと月なんてそれまでの強デッキで押しまくる感じになるんだけど、今年はちょっと違う。3/1から【ちんけなバッカニーア】と【精霊の爪】が弱体化されたのだ。

これにより、アグロシャーマンを筆頭に海賊を用いた序盤の動きがやや制限されることになった。アグロシャーマンは環境トップクラスのデッキだったので、最後のひと月にして勢力図が絶妙に変わることとなったのだ。

 

やるじゃねえか。

この調整はうまいと言わざるを得ない。明らかに弱体化されるのはアグロシャーマンのみで、それ以外のデッキは全体的に少しスピードダウンする程度。切り替えのタイミングがちょうど月初なので、少し新しい環境で模索する楽しみもある。

実際、アグロ一辺倒のシャーマンはあまり見なくなったし、手探りでいろいろなタイプのデッキとまたマッチングするようになった。最後の一か月だけ環境を動かし、もし失敗してもすぐ次の環境(しかもガラッと変わった新しいスタンダード環境)がやってくるのだ。

ああ、これはうまくやられた。まんまとモチベーションやや上がりですわ。これからは毎回、新規リリースの一か月前にナーフをリリースするといいよ。それぐらいうまく行った感じがする、今回の調整でありました。

 

さて、そんなこんなでちょっと環境が変わって面白くなったものだから、実はせっかく書こうと思っていたテーマがお蔵入りしてしまったのだ。

それは「デッキの作り方」とその効用だ。

 

まず最初に問いたいのは「デッキって何のために作るのか?」ということだ。

 

勝つため。

強くなるため。

ランク戦で上へ行くため。

言葉は違えど意味は同じ。ゲームだからやっぱり勝ちたいんだ。

 

でも、本当にそれが俺の望んだことなのだろうか?

ある程度強いデッキを使いつつ、環境に応じた調整をして、対戦を消化する。

わかっちゃいるけど、淡々と続けるのが苦しい時もある。それなりに飽きているにもかかわらず、ランク戦で上に行くことを目指して戦う。

 

ランク戦で上に行くことを目指して。

 

ここで立ち止まって考えてみよう。

ゲームする目的って何だろうか。「ランク戦で上に行く」ことだろうか。確かに、その目的でプレイしている人はいる。ほかのプレイヤーとしのぎを削り、少しでも強くなりたい。そういったモチベーションは理解できるし、そりゃあ弱いより強い方が楽しいので、強くなる、上を目指す、というのは間違ってはいないだろう。

しかし、ゲームする目的って本当にそれだけだろうか。

 

楽しいからプレイしていたんじゃないのか?

そもそも「勝ちたい」という欲求の奥には「勝つと楽しいから」という、本当の目的が隠れていたんじゃないのか?

 

「いや違う。強くなることは全ての欲求に先立つのだ。私は強くなるためなら、楽しくなくても一向に構わない!」

そんな求道者はまあ、ほっといても戦うだろう。そうじゃなくて、どうにもこの作業に耐えられない、しかしハースストーンはやりたい、という欲張りさんの(というか自分が惰性にならない)ためのデッキ構築ガイドである。

 

体感ではあるが、どんなクズデッキでも10個作れば1つは実戦に耐えうるデッキができる。そのデッキは自分以外に使っていないので、相手は探りながらの対戦を余儀なくされる。さらにこちらのデッキの意図がわからないので、リーサルダメージが出やすくなる。

要は「楽しいデッキ作ると時々それなりのデッキができて、それなりに勝てる上に、誰も使ってないから楽しいよ」ってことである。

これだけだと「当たりが出るまでクズデッキを作り続ける作業」のように聞こえるかもしれない。それは短期的には正しく、当たり以外のデッキは対戦では必要ない。しかし長期的に見ると、実は外れのクズデッキを作り続けるということ自体がとても意味のあることなのだ。

 

その意味とは、環境の変化への対応力ができるということだ。

例えば「なんか面白いデッキできないかな」とか「このカードハマれば強そうなんだけど、どうしようかな」などと考えることは常日頃からあると思う。

そこで、頭で考えるだけではなく実際にデッキを組んでみると、まあ大抵はうまくいかないわけなんだけど、その経験は後に必ず生きる。

新しいデッキを考えて使うということは、誰も使ってないカードの使い方や、思いもよらない動きを知ることにつながるのだ。たとえデッキ全体としては失敗でも、そのカードの使い方は身に着くわけで、そうすると環境が変わった時に「人より引き出しが多い状態」で入っていける。

これってすごく重要。

環境の初期に、デッキのアイデアを数多く出せる人ってのは、日ごろからわけのわからないカードを試していると言っていいと思う。最近流行りの【飛刀手流忍者・六丸】だって、頑なに覚えてた奴が使い出してうまくハマった結果なんだと思う。

環境が変わった時、いきなり【六丸】を使うのは勇気がいる。その勇気の担保となるのが経験だ。たとえファンデッキのレベルであっても【六丸】の使い方を知っているという経験。

それが無ければ突然「デッキに入れてみよう!」とはならないはずで、自分で【六丸】の使い方を考えて、デッキを組んで、あまり勝負にならなくてもそれを覚えてて、隙あらばランク戦の俎上に載せようと考え続けた奴こそが、それをデッキに入れられると思うんだ。

そのために、くだらないデッキでも作り続ける必要があるんだと思う。そして、そこまでひっくるめて、デッキ作りの楽しさだとも思う。

長くなったのでここで一旦終わり。次回への布石として、最近作ったチャレンジデッキを載せておこうと思う。

 

【闇に説くテンポメイジ】

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うーん、チャレンジング。

デッキ名にもなっている通り、このデッキは【闇に説くもの】を使いたい一心で作ったものだ。【闇に説くもの】は、シャーマンで使用して抜け殻を【進化】させるというのがギリギリ良い使い方だと思うのだが、今回はメイジで使用。さらに難しいデッキ構築となった。

基本線はテンポメイジの動きをしつつ、【闇に説くもの】で3/6のスタッツにする恩恵があるミニオンを多く選んだ。

使ってみればわかるが、癖があって強さ的には中程度である。

しかし、こんなデッキでも【ウンゴロ】リリース後に化けるかもしれないのだ。【闇に説くもの】の使い方を知っていれば、4月にいち早く強デッキにたどり着けるかもしれないと、言えなくもない、かもしれない。

  

 (※余談。【飛刀手流忍者・六丸】の英名は【Finja, the Flying Star】であり、「ヒレ-fin」を使った忍術であるところの「フィン術-Finjitsu」の使い手だそうだ。この言葉遊びが素晴らしいのは言うまでもないが、特筆すべきはその日本語訳だ。英名の「Flying」にかけて「飛」という漢字を入れたり、「Star」にかけて「ヒトデ」と読ませたり、さらに「マーロック」をもじって「六丸」にしたりと、凄まじい執念を感じる名付けである。毎度毎度ほんとすごい。敬服します)

 

改宗プリースト、その後

【仁義なきガジェッツァン】リリース直後に、【改宗プリースト】というデッキを作った。

(詳しくは↓からどうぞ)

hsgoma.hatenablog.com

 

簡単にどんなデッキだったのか説明すると、「とにかく相手のミニオンを横取りする嫌がらせデッキ」である。身もふたもない。

しかし当時は天敵の【翡翠ドルイド】が流行っていたため、勝率が5割を下回ってしまった。筆者は仕方なく時流に乗って「とろぐさいきょー」などと、はしたなく叫んでおったそうな。

(ところで、なぜこのデッキは【翡翠ドルイド】に弱いのだろうか。やってみればわかるが、相手が【翡翠ドルイド】のようなロングレンジの場合、勝負はデッキ切れまでもつれ込むことが多い。デッキ切れ間際の【翡翠ドルイド】は【翡翠のゴーレム】を1マナで連打してくるため、処理できずに圧倒的なパワーに押されて負けるというわけである。【ガジェッツァンの競売人】がもりもり動き始めたら、その時点で自爆してもいいと思う)

 

しかし。

 

年が明けしばらく経ち、メタは変わった。

【アグロシャーマン】や【海賊ウォリアー】などの高速デッキや、レノ系のデッキが台頭してくるに連れて【翡翠ドルイド】はその居場所を失っていく。Tempo Stormのメタランキングで、とうとうTier3の13位まで落ちているではないか!(※2017/2/23現在)

 

これはイケる。

マジでイケる。

天敵と言えるほど苦手なのは、今のところ【翡翠ドルイド】だけなのだ。アグロにもコントロールにも、それなりに戦える【改宗プリースト】を、今こそ甦らせよう。プリーストだけに!

 

【改宗プリースト 2.0】

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では、前回から変わった点を説明していこうと思う。

 

out)

真言・栄光】*2

序盤にライフを削られる場面をカバーするために入れていたのだが、結局はその場しのぎだったので抜いた。回復なら【上級回復ポーション】があるし、序盤はヒーローパワーでも十分。

 

真言・盾】*2

盗んだミニオンをより長く使うために入れていたのだが、1マナのわりに序盤は用がないので外した。

 

【オニキスのビショップ】*2

最大の変更点。5マナは他の選択肢を狭めるというのが大きな理由。他のカードでのミニオン処理を優先したいことが多いので、5マナを丸々使えるのは優位を取っている終盤になってしまう。

しかも、終盤に復活するミニオンはバラつきが大きいので、例えば【傷を負った剣匠】を確定で復活させるような価値は持っていないと判断した。

 

【マダム・ゴヤ

【マルシェザール公爵】

これらのレジェンドは地味に効くんだけど、【ゴヤ】は他のカードありきのコンボカードだし、【公爵】はデッキを薄めるので最終的に外した。

 

in)

【禁じられし創造】*1

マナが余ったら使う便利屋。一枚あると、ちょっとしたマナの空白を埋めることができていい。

ただし、序盤に2マナ3マナで使用するのはあまりおすすめしない。序盤の相手ミニオンは呪文(主に【密言・恐】)で処理できるので、こちらがミニオンを使うのは得策ではない。そもそも2~3マナ帯のミニオンは殴らせても大したダメージにはならないから、呪文で効率良く処理できるまでは、ヒーローパワーで地味に回復するのが良いと思う。

従って、このカードの使いどころは5~8マナだ。中盤以降、何か呪文をプレイして相手の盤面を処理した後、5マナ以上余っている時に使おう。そもそも余っているマナなので、できるだけリターンが大きい使い方をした方がいいだろう。

 

【ドブネズミ】*2

通称【レノ・ジャクソン】殺し。レノのみならず【アレクストラーザ】とか【奈落の始末屋】とか、終盤に雄叫びで盤面をひっくり返せるミニオンを、雄叫び無しで出してしまうので、相手のプランを崩すことができる。

また、あからさまなアグロに対していきなり使うことで、防御を固めることもできる。現在の環境では持っていて損はないカードだと思う。

ただし良く言われるように、出てきたミニオンに対しての処理カードは必ず持っておきたい。【埋葬】は6マナ確保できていれば万能。終盤に使うなら【密言・死】は必須だし、序盤は最低でも【狂気ポーション】は欲しいところ。

(余談だけど、【イカれた錬金術師】でアタック6になるので、地味に使える場面があるぞ!)

 

【精神支配技士】*1

1枚あるといいよねシリーズ。相手のミニオンを奪うというコンセプトにも合っているし、横に広げられた時の対処として【密言・恐】以外にも欲しかったので入れてみた。

 

【上級回復ポーション】*1

地味に見えるが、ものすごく重宝する。このデッキは終盤まで行くことが多いので、1枚しかなくても見る機会は多い。

性能的には、なにしろ12点が大きい。アグロ相手だと12点回復されると結構厳しいよね。それだけで採用価値あり。

 

【ドラゴンファイア・ポーション】*1

このデッキ、うまく戦えている時は相手の出すミニオンをことごとく潰して、盤面をクリーンにコントロールできるのだが、何せ相手のミニオンに依存するので、うまいこと奪えなかったり、処理できなかったりすることもある。

そうなると、中盤で相手がミニオンを5体出してきて「次のターンで殴られると危ない」みたいな状態になることもある。

そんな時このカードがあれば、(ドラゴン以外)大体のミニオンを消し去ってくれる。また一から、相手ミニオンのコントロールを始めることができるのだ。

 

【魔力の巨人】*2

明確なフィニッシャーとして入れた。このデッキは呪文が 21枚も入っているので、ほとんどの場合、終盤にほぼコストをかけずに召喚できる。単純に強い。

 

 

さて、そんなこんなで8枚の入れ替えを行ったわけだが、方向性としては「コントロール性能は失わず、フィニッシュを明確にした」というところだろうか。

この形にしてからじわじわと勝ち続け、勝率は53%まで上がって来た。マジで【翡翠ドルイド】さえいなければ、そこそこやれる。

 

最後に、現環境で対戦を繰り返してわかった「プレイングの注意点」を書いておく。

 

・序盤は「溜める」

序盤の攻防でカードを浪費してはならない。極力【狂気ポーション】や【影の狂気】を使って、1枚で2体処理できるようにしよう。

そのためには、1体しかミニオンがいない状態で安易に【密言・痛】など使わないように。まずは相手のミニオンを「溜めて」から「まとめて処理」するのだ。

 

・先のことを考えてカードを使う

目先のミニオンにとらわれて、処理カードを使ってはいけない。これからどんなミニオンが出てきたら嫌なのか、先のターンを見据えたプレイングを心がけよう。

例えば【5/5】のミニオンが場に残っている時、こちらのライフに余裕があるならすぐに【密言・死】で処理しないという選択肢も、頭に持っておこう。

【縮小ポーション】と【密言・恐】が揃っていれば、アタック5までのミニオンはまとめて倒せる。1ターン殴られても、相手がミニオンを出せば、一緒に処理できる数が増える。そうしておけば、余った【密言・死】を【炎の王ラグナロス】に使えるかもしれない。

我慢することで、効率良くカードを使うことができれば、その先の脅威に対処できる確率が上がるのだ。

 

最初は考えることが多く感じるが、使い込むとパズルを解くように、アクロバティックなプレイができるはずだ。

何よりも、このデッキはすごく楽しい。そこそこ勝負になるっていうのも重要だけど、相手のプレイに対していちいち逆手を取っていくのは単純に面白いし、相手がどうするか困っているのを見るのも快感である。

 

ぜひ一度、使ってみてください。 

 

 

さあデッキを掲げ、戦いへ出よう。

これは決して嫌がらせなどではない。

素晴らしき平和のための、改宗なのだ!

 

1月のデッキ事情: テンポレノロックと翡翠進化シャーマン

新年である。

そろそろ本格的にランク戦でもやろうかと思ってやっているのだが、いかんせんモチベーションに欠ける。今年のスタンダードに入るタイミングで、ランク戦にテコ入れがされるかもしれないというニュースを聞いたので、何となく期待しようと思う。

俺のプレイスタイルから言うと、そんなにガッツリやらなくてもそこそこに楽しめるシステムがいい。例を挙げるなら、麻雀格闘倶楽部のリーグ戦ぐらいでいい。本気のやつは上に行き、そこそこのやつはそこそこで、しかし皆が十分楽しいというような、いろんなプレイスタイルを吸収する幅広さがあれば理想的だ。

 

なんて言っててもまだその時は来ないので、目下今年一発目のランク戦に参戦中だ。1/13現在ランク15。めっきり衰えたものである。なんせ一日2~3戦しかしてないからな。

で、いまお気に入りのデッキを2つ貼っておこうと思う。どちらもオリジナリティがありつつ勝てるのでよく使っている。

 

【テンポレノロック】

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こいつは【レノズー】という種類のデッキを見かけて、発想が面白いなと思ったので真似て作った。ズーよりミッドレンジ寄りの構成で、テンポを取りながら相手の顔面を殴り勝つ。長期戦になったら【リロイ】⇒【無貌の操り手】で12点(【ソーリサン】からの【凄まじき力】があれば20点)を出して勝負を付けるというのがウイニングプランだ。

この手のハイランダーデッキって今までまともに組んだことなかったんだけど、組んでて楽しいね。環境に合わせたカードの入れ替えが比較的容易だし、気になるカードをピン差ししていく感覚が独特で、どんな環境でも柔軟に対応できるのがいい。ハイランダー用のカードが複数登場したいま、レノロックが上位デッキになっているのも頷ける。

本デッキの特徴は、いわゆるレノロックほど後半勝負でもなく、序盤にアグロに圧倒される場面を減らすためにミッドレンジ構成にした点だ。マナカーブを一般的な(スムーズな)バランスにし、ヒーローパワーを使わなくてもカードが使えるようにしている。

結果として、序盤から中盤に自分のライフを削られる場面を防ぎ、中盤以降の勝ちパターンに持ち込むことができる。とにかく油断すると海賊に削られ負ける今の環境では、このような構成もありかなー。って思いました。

 

まあ前述の通り、こういうデッキは環境に合わせて柔軟に組めるのがいいところなので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。

ところで、このデッキ使ってて何回かあったんだけど、序盤で運よくディスカードzooっぽいプレイングができて、相手が「レノじゃないのかな」と思ってくれたら超ラッキーだ。ライフを削られて慌てるフリをしてから、おもむろに【レノ・ジャクソン】をプレイしよう。爆発してくれるぞ。

 

翡翠進化シャーマン】

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現在メインのデッキである。

低ランクながら導入からの通算勝率80%を誇る。もちろんランクが上がったら普通の勝率に落ち着くと思うが、現状でこれぐらい勝てると心の安寧を保ったまま対戦ができてありがたい。

ではこのデッキ、何が強いのか。

想像するに「進化デッキだと思われない」ところなのではないだろうか。やはり、相手が想像していない動きをするデッキは強い。以前紹介した【動物園パラディン】もそうだが、結局俺はそういうデッキが好きなのだ。相手の裏をかくプレイをした後に、相手の手が止まる瞬間が好きなのだ。そういう場面って、最高に気持ちいいからな。

 

で、このデッキの勝ち筋は何かというと、経験上3つの要素に分けられる。これらの要因が濃淡組み合わさって勝ちにつながる印象である。

 

①【翡翠のゴーレム】を並べて押し勝つ

これはいわゆる翡翠デッキの動きである。翡翠系のカードの引きが良い場合、さらに【ブラン・ブロンズビアード】+【雄叫び翡翠カード】でゴーレムを連打して押し勝つパターンだ。相手にとってもこのパターンは読みやすいので、なかなかこれだけで勝てることはない。

 

ミニオンを並べて【血の渇き】で一気に勝つ

完全に印象論で申し訳ないのだが、今の環境で【血の渇き】を使っているシャーマンがあまりいないのか、警戒が薄くなっているように思える。

基本的なことだが、ミニオンがこちらの場に3体いる場合、【血の渇き】と【炎の舌のトーテム】が1枚ずつあれば、盤面のアタック値プラス13点も出せるのだ。ミニオンが4体ならプラス16点だ。うまく行けば1ターンで相手を倒せるので、常に狙って損はない。ミッドレンジ以上のシャーマンにとっては、忘れてはならない戦法である。

 

③【ドッペルギャングスター】+【進化】

実際このコンボがきれいに決まることはあまりない。しかし、このコンボこそこのデッキの隠れた特質を端的に表しているのだ。

もし6マナあって上の2枚がそろっていたら、脅威を取り除かなければ死んでしまう局面でなければ、迷わずプレイして良い。【ドッペルギャングスター】とそのコピーは全て5マナなので、6マナミニオンが3体出現することになる。なんと6マナで18マナ分のミニオンを並べることができるのだ。6マナミニオンはヘルスもそれなりに多いので、出てしまえば【フレイムストライク】でもなかなか除去されない。相手に大きなプレッシャーをかけることができるのだ。

もちろん、他のミニオンも進化させることができれば、さらに優位に進めることができるだろう。特に【翡翠のゴーレム】は、進化させる用途にあまり使われないため、相手の裏をかきやすい。

カードを詳細に見るとわかるが、【翡翠のゴーレム】のスタッツは [ xマナ x/x ] なのだ。相手は【翡翠のゴーレム】のコストまで意識していないので、進化させると思われにくい。さらにアタックとヘルスが同値なので、相手のミニオンを倒してからヘルスの減った【翡翠のゴーレム】を進化させて実質回復させるといったプレイがやりやすい。 

 

さて、そんなこんなでまとめると、途中まで【翡翠シャーマン】のプレイをしておいて、中盤以降にミニオンを並べて【進化】、さらに【血の渇き】で一気に倒す。それがこのデッキだ。

【動物園パラディン】と同じく、戦法がバレると一気に弱くなるタイプのデッキだが、前回もそんなに流行らなかったしこのブログ程度の影響力なら安全だろう。

本当はもっとメカニクスやプレイングの解説をしたいのだが、今日は疲れたので気が向いたら追記していこうと思う。

 

本年も皆様に良いデッキアイデアが降りそそぎますように。

あと思い切って使った【ヨグ=サロン】が最高の結果を出しますように。

 

追記:1/14

現状のカード追加候補は【ドッペルギャングスター】【翡翠の精霊】をそれぞれ2枚に増やすのと、【退化】の追加。前者は環境に応じた微調整だが、【退化】は一度実戦デッキで使ってみたいと思っているところである。

 

追記:1/24

 

今日、初めてこのデッキと思しき対戦相手と当たった。 こちらは呪文がたくさん入ったコントロールシャーマンである。【ドッペルギャングスター】+【進化】をしっかり決められたものの、呪文で処理してたら勝つことができた。

ありがとう、名も知らぬアジアサーバの友人よ…!

デッキ紹介:改宗プリースト

さあガジェッツァンだ!

と、意気込んでみたはいいものの「そんなに食指が動くデッキがないなあ」とお嘆きの貴方へ贈るこの珍デッキ。

 

【改宗プリースト】

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その名も【改宗プリースト】だ。

デッキコンセプトは簡単。相手が嫌がることをし続けて勝つ、である。

これまでも「アンドウィンの方が盗賊に相応しい」「ていうか埋葬マジむかつく」などと、対戦相手にヘイトを抱かせるのに十分な活躍をしてきたプリースト。

今回【仁義なきガジェッツァン】で【狂気ポーション】【縮小ポーション】を手に入れたことにより、その嫌がらせ戦法に十分なカードは揃ったと言えよう。

 

1.キーカード

このデッキのキーは、相手のミニオンを奪うカードである。

【狂気ポーション】と【影の狂気】は、そのターンのみ相手のミニオンを奪うことができるため、奪ってから相討ちを狙う。【カバルの影の僧侶】と【精神支配】は、問答無用で奪えるので相手のキーカードに使えるといいだろう。

【埋葬】もこれまで通り使っていい。ここぞと言うときに相手のとっておきミニオンを奪って、やる気を削ぐのだ。

これらの相手ミニオンを奪う動きこそ、【改宗】の名前の所以である。

 

2.除去カード

奪うだけでなく、デッキには普通の除去も入っている。

【密言・痛】【密言・死】はこれまで通り、嫌なミニオンに使おう。

【密言・恐】はアグロにめっちゃ刺さるし、後述のカードと組み合わせることで全体除去としても使える優れものだ。

 

3.補助カード

上記のカードの中には、ミニオンの攻撃力が条件に当てはまらないと、発動しないものがいくつかある。そんな時に使うのが【縮小ポーション】だ。

こいつはすごいぞ。敵のミニオン全ての攻撃力を-3するのだ。こいつを効果的な場面で使うことで、とんでもないアドバンテージを得ることができる。

例えば相手のミニオン全てが攻撃力5以下の場合、【縮小ポーション】⇒【密言・恐】で一掃できる。また【カバルの影の僧侶】や【影の狂気】の射程に入れて、こちらの物にできる。

ある程度、相手のミニオンが溜まったタイミングで、相手のシナリオをぶち壊すような動きをしていこう(ひどい)。

 

また、地味ではあるが【イカレた錬金術師】も補助的に使うことができる。例えば対ウォーロック戦でこんな配置の時。

 

【インプギャングのボス 2/4】【炎のインプ 3/2】

 

【インプギャングのボス】に対して【狂気ポーション】を使用してこのターンのみ操作権を得る。その後【インプギャングのボス】に【イカレた錬金術師】の効果を使って4/2にする。と、こうなる。

 

  【炎のインプ 3/2】

【インプギャングのボス 4/2】

 

ここから【インプギャングのボス】で【炎のインプ】を殴ると、こちらの場に【インプ 1/1】が発生して、相手のミニオンを一掃しつつアドバンテージを得ることができる。

 

4.プラスアルファカード

相手のミニオンを奪った後、さらにそれをプラスにするカードである。

【影の狂気】などで奪ったカードを相討ちなどの手段でこちら側の場で破壊すると、【復活】【オニキスのビショップ】の効果でこちらの場に復活させることができる。断末魔を持ったカードなんかでこれをやると、相手のカードなのにこちらが2回も断末魔の恩恵を受けることになるので、相手に与える心理的ダメージは非常に大きい。

 

【マダム・ゴヤ】も同様に、【狂気ポーション】などで一時的にこちらの場にあるミニオンに使用する。そうすると、なんとそのミニオンがこちらのデッキに入ったうえで、さらにデッキからミニオンを出せるのだ。つまり相手のミニオンを一体減らした上で、こちらは二体出せることになる。

これ超強い。他の人が使ってるの見たことないけど、さすがレジェンド。元々こちらのデッキに入っているミニオンは少ないので、【マルシェザール公爵】が仕込んだレジェンドの確率も高くなっている。期待しよう。

(ちなみに筆者は一度、この動きでデッキから【ヤシャラージュ】が出てきた)

 

5.カード入替え

上のリストは、アグロデッキが幅を利かせている環境に合わせて作られたものだ。このデッキはミニオン8枚呪文22枚という極端な構成と、『相手のミニオンを奪う』というコンセプトのため、序盤に攻勢をかけられると弱い。【ガジェッツァン】リリース後の『海賊ウォリアー』とかアグレッシブなシャーマンとか、序盤のスピードが速いデッキにはどうしても不利になってしまう。

そこで【真言・栄光】を敵ミニオンに貼り付けて序盤を凌ぐ作戦だ。序盤さえ乗り切れば、速いデッキに対しては【密言・恐】とかで何とでもなる。序盤にライフを削られないようにすれば、相手は息切れして勝機が見えてくるはずだ。

逆に、それほど速くない環境では【真言・栄光】を【マインドゲームス】に入れ替えよう。環境が遅いということは、相手のデッキに入っているミニオンのコストが上がっているはずなので、4マナ支払って得る対価が大きくなるからだ。 

 

6.マリガン

ここまで読んだらわかると思うが、こちらのデッキにミニオンがほぼ入っていない上に、その大半は『相手ミニオンがいて効果を発揮する』ものだ。当然ミニオンはキープしない。

ミニオンがいてこそ効果を発揮する【真言・盾】や、少なくとも一体は破壊しないと意味がない【復活】【オニキスのビショップ】もいらない。

ということは、初手で必要なのは【真言・栄光】【狂気ポーション】【密言・痛】あたりだ。これらのローコスト呪文を駆使して、序盤を乗り切ろう。具体的には、うまく相討ちを狙うなどして4~5マナ目までを最低限のダメージで凌ぐのだ。

4マナあれば【密言・恐】で低攻撃力のミニオンを一掃できる。5マナあれば【縮小ポーション】を使ってから【密言・恐】で、さらに強力な全体除去になる。相手のミニオンを減らして場を取り戻すことができれば、後は【復活】などでどんどんアドバンテージは増すばかりである。

 

あとは、速そうなヒーローだったら【真言・栄光】はキープしたいし、逆に遅そうなヒーローだったら【密言・死】を取っておいてもいいだろう。

ここで気を付けたいのは、候補となるデッキが複数あるヒーローが相手の場合は『速いデッキ』の方を想像してマリガンすることだ。例えばシャーマンとマッチアップしたら、ミッドレンジではなくアグロシャーマンだと思ってマリガンをする。

なぜかと言うと、このデッキは遅いデッキへの対応力は十分あるので、もし相手が遅かったとしても挽回できるからだ。逆にもし相手が速いデッキだった場合は、マリガンでミスしてしまうと取り返しがつかない。挽回する前にライフを削られて負けてしまう可能性が高いだろう。

つまり、シャーマンやウォーロック、ウォリアーと言った『速いデッキも遅いデッキも強い』ヒーローに関しては、常に速いデッキだと思ってマリガンすべし。ということだ。

 

あとは「序盤に出されると不利になるミニオン」に対処できるカードを、意識して取っておこう。例えばシャーマンに対しては【炎の舌のトーテム】がヤバいので【イカレた錬金術師】をキープするなど、とにかく序盤を乗り切るためのカードを意識しよう。

 

7.最後に注意事項

このデッキ、当然まだ対戦相手に使われたことはないのだが、恐らく対戦相手からしたら「すげえムカつく」デッキだと思うので、使用する場面には注意しよう。

具体的には、友達との勝負で使ったりしないようにしよう。多分嫌われる。

このデッキで十数戦したけど、勝つ場面でかなりの相手が「まだカードもライフも残ってるのに」自爆したのだ。きっと、こちらの執拗な嫌がらせに辟易したのだろう。

相手の身になって考えてみれば、そりゃそうだ。出すミニオン出すミニオン奪われて、相討ちされて、しかも向こうは【復活】させることができるのだ。こちらは【シルヴァナス・ウィンドランナー】を一度しか使えないのに、相手はデッキに入れてなくても最大5回出せるのだ。

卑怯だ!

アンドゥイン汚ねえ!

って思われても仕方ない。それだけのことをしているのだからな。

 

そんなようなことに気を付けて使ってみてください。相手のヘイトに比例するように、こちらはどんどん気持ちよくなりますから(ゲス顔)。

 

 

追記)

真言・栄光】の代わりに【ドブネズミ】も試している。しかしさっき相手の手札から【炎の王ラグナロス】が出てしまったので怖くなった。ちゃんとリカバリできる手札がある場面で使うのがいいのか。それとも使わない方がいいのか…。

 

再追記)

何回かやったけど【真言・栄光】の方が安定するかな。

【ドブネズミ】は強いミニオンが出てくるリスクがあるので、明らかにアグロでない相手には使いづらい(結果、手札で腐る)。あと【密言・恐】で破壊されてしまうので、アグロ対策になっているようでなってないと思いました。

 

三度目の正直)

【超うざい調剤師】も試してみました。アグロからミッドレンジまでなら序盤が安定するので重宝する。しかも【復活】するので、速い相手はさらに嫌なはず。反面、相手も回復しちゃうのでコントロールには少し不利。

あとこのデッキ、【翡翠ドルイド】にものすごく弱いね。ドルイド見たら爆発していいレベル。

ヒロイック喧嘩について

少し前の話だが、ハースストーンに【ヒロイック喧嘩】というやつが実装された。

 

簡単に言うと、自分の組んだデッキで戦う闘技場である。

自分で組んだデッキを使わなければいけないので、必然カード資産の多いベテランユーザーが有利になる。それ以前に、入場料が1200円もしくは1000ゴールドなので軽い気持ちでは参加できないコンテンツである。

しかし、その分報酬は破格で、12勝すれば50パックにゴールデンレジェンドが3枚も付いてくるし、入場料以上の1100ゴールドがもらえる。期待値がプラスになるのは5勝3敗から。実現するためには、勝率62.5%を叩き出さなければいけない。

つまり、腕に自信のあるやつだけ来い。強い奴にはいいもんやるぞ。という非常に射幸性の強い遊びだ。

 

でね。

こんな波の荒さなもんだから、どっちかって言うと否の方が多いわけよ(個人の感想です)。通常の酒場の喧嘩を飛ばしてこの【ヒロイック喧嘩】を実施したのもあって、完全に初心者お断り、むしろ中級者もお断り。上級者でも二の足を踏むレベル。

なんでこんなの実装したのかなー。って考えて、思い当たることがあったのでここに記すものとする次第である。

 

結論から言うと、【ヒロイック喧嘩】の目的は『上級者の余剰リソースを減らすため』で間違いない。

この手のゲームって、課金しない人も遊べるように、毎日少しずつ時間を使っていればそこそこ遊べるようになっている。そうしないと、お金使わない人が意欲をなくしてしまい、ユーザー数が減るからだ。

あれ、課金する人だけ残ればいいんじゃないの?

と思われるかもしれないが、それでは実ユーザー数がものすごく少なくなってしまうので、潜在的なユーザーへの広がりが鈍くなってしまう。ユーザー数を多く保つことで、そこからの広がり(例えば『友達を誘う』などのゲーム外部への動き)が活性化するため、新しいユーザーを獲得しやすくなる。その結果、課金ユーザーも増える。

ハースストーンの場合も、クエストを消化したり勝利を積み重ねることで、がんばれば一日150ゴールドは手に入れることができる。例えば年間300日稼働したとして、一年で45000ゴールドが手に入る。

現在、ハースストーンの年間スケジュールは『拡張*2』と『アドベンチャー*1』なので、アドベンチャー分の2800ゴールドを引いて42200ゴールドをパックで使用できることになる。

つまり、一拡張につき21100ゴールド。211パック。

 

うん、これで十分じゃね?

しかも、ある程度課金しているユーザーなら、これよりさらに多くのパックを手に入れることができるのだ。必然的に『ゴールドは余る』。

で、余ったらどうするか。普通の人なら、ある程度のところでパックを引くのをやめて『次の拡張のためにとっておく』だろう。そうしている間にも、日々ゴールドは溜まっていく。つまり、あるユーザー層では『ゴールドの消費より収入が上回った状態』になっていると予想される。

こうなると、課金する意味がなくなる。日々の収入さえちゃんとこなせば、拡張がリリースされても無くならないくらい、ゴールドはあるのだ。課金なんてしないだろう。

 

というわけで、この状態を解消するために【ヒロイック喧嘩】は実装されたと見て間違いないだろう。それを裏付ける理由は他にもある。

 

・ターゲットが上級者

前述の通り、明らかに上級者を狙った仕様は、『ゴールドが余っている層から減らしたい』という意図を感じる

 

・報酬にゴールデンレジェンドがある

基本的にゴールデンレジェンドは、自分でわざわざ作らない。つまり、カードリストがほぼ埋まっているユーザーでも、持っていないカードが多い。よって、それを報酬として出すことで、最上位のユーザーでさえもゴールドを消費してくれる可能性が高まる。

 

・【仁義なきガジェッツァン】のリリース2週間前

おそらくこれが一番大きい。新拡張のリリース直前にこういったギャンブル仕様を出すことで、【ガジェッツァン】で消費されるゴールドをお金にしたいという強い気持ちが感じられる。

このことから考えて、次回拡張前にも同様の(もしくはもっと射幸性を増した)【ヒロイック喧嘩】が実施されると予想される。

 

おそらく、当初の予定では【闘技場】が、この余ったゴールドを消費するものになるはずだったのだろう。しかし、現在の【闘技場】には、上級者がゴールドを支払ってまでほしい物も名誉もない。

ただ待っていたのではユーザーがプールするゴールドは増えていくばかりである。そうした状況を打開するため(の手がかり)として、【ヒロイック喧嘩】は実装されたと考えられる。

 

と、いろいろ書いてきた。ここに書いたのは確かに俺の想像だけれど、実はこれに似た経験をしたことがあるので、ほぼこの動機で間違いないと思っている。

以前、ソーシャルゲームの運営に携わっていた時、ユーザーの持つ資産が大きくなりすぎて困ったことがあったのだ。本当なら、資産をうまく消費させて課金につなげるバランスにするのが理想なのだが、ユーザーはこちらの予想を軽く超える。

「おそらくこのくらいだろう」とこちらが設定したラインなんて優に超えて、時に理論値限界みたいな動きをするユーザーもいる。先ほど「年間300日稼働したとして」なんて書いたけど、マジで年間365日全ての報酬を取りきるユーザーもいる。ハースストーンにもきっといるのだろう。そして、毎日じゃなくても300日分とかそのレベルならきっと掃いて捨てるほどいる。間違いない。で、そんなユーザーのデータを見ながら「これヤバくないっすかね」なんて会話が開発室で起こっているのが目に見えるようだ。

しかしそんな時、報酬を削ったりしたら大ブーイングが起こること必至である。今まであるものは残しつつ、どうにかして資産の消費をさせなければならない。

 

それでひねり出したのがこの【ヒロイック喧嘩】だと思うんだよな。

いや、その気持ちはすごく良くわかるから。